Q137★ボルタ電池の応用であるレモン電池の実験をしています。身近にあるいろいろな水溶液100mlに、アルミ板と銅板をいれて流れる電流を調べました。わからないことが3つあります。
1)流れる電流の大きさは何によって決まるのでしょうか。友だちが酸性雨の研究をしていて、酸性かアルカリ性かをはかる体温計のようなものを使っていましたが、そういうものでわかるのでしょうか。何かがたくさんとけていれば、濃ければ濃いほどたくさんながれるのでしょうか。キュウリやキーウィー、タマネギや砂糖水塩水(濃さを変えました)清涼飲料水やお茶などで実験しましたが、いろいろな結果が出てよくわかりませんでした。
2)電流と電圧ではかる機械がちがうことです。電流計でmAをしらべたのですが、大人の人の実験などでは、ボルトというのを調べているようです。電流をはかるのはまちがっているのでしょうか。もう一回電圧計でやりなおさなければならないのでしょうか。
3)銅とアルミを入れた直後は電流計の針が大きくふれるのですが、そのあとだんだん下がって安定します。どうして最初だけうんと針がふれるのでしょうか。2枚の板を実験途中で振ると電流が多く流れますが、それよりずっとたくさんながれます。なぜでしょうか。



  
それはね…

レモン電池はフルーツ電池の一種で、レモンなどのフルーツが電気の池(電池)となっていて、それを2種類の金属を使って取り出すものです。

1)の質問について
レモンは「池」のようなものなので、そこから電気をどうやって取り出すかによって決まります。アルミ板と銅板とを使って実験したということですが、このように2種類のイオンになりやすさにちがいがある金属と、イオンがとおる「池」(これを電
解質といいます)があれば電池ができます。電池がおこす「電気」とは、電子の流れで、片方のイオンになりやすい金属では、金属が電子をなくしてイオンになり、もう片方では「池」の中にあるイオンが電子を受け取ります。
 電流の大きさは、いくつかのことで決まってきます。ひとつは、「池」がどれだけイオンを通しやすいかです。もうひとつは、金属が電子をはなしたり受け取ったりするはやさがどれだけはやいかです。ためされた実験はひとつめの、どれだけイオンを通しやすいかをためそうとしたのですね。素晴らしいと思います。これは、イオンになりやすいものがどれだけ溶けているか、はやく動けるイオンがどれだけあるかが大事です。
試された酸性やアルカリ性の溶液の中にははやく動けるイオンがありますので、よりイオンがとおりやすくなります。

2)の質問について
 電池の性質は、電流と電圧という2つのことで決まります。例えば、電池を水のタンクにたとえてみます。水の入ったタンクからパイプをとおって水が流れ落ち、水車を回しているとします。水車を回す力は、流れる水の速さと量で決まるでしょう?
電池の場合は、この水の速さが「電圧」に、水の量が「電流」にたとえることができるのです。電流をはかるというのは流れた水の量をはかっているということで非常に大事な値をはかっていることになります。

3)の質問について
これはいいところに気がついています。すばらしい観察力です。入れた直後の銅板やアルミ板は表面がきれいで、電気が流れやすいのですが、電池になった直後から化学反応で表面の状態が変わるのです。そのため、最初は流れやすかった電流が流れにくくなったのです。また、電流の流れやすさは間の抵抗によっても変わるので、この場合は銅板とアルミ板の距離が変わると流れやすさも変わるのですが、最初の状態はそれ以上に流れやすい状態だったのです。


実験はいろいろな条件をいっぺんに変えると何が何かわからなくなります。この実験の場合、例えば、レモンに金属板をさす場所は固定しておいて、一方に銅板をさして、もう一方にはアルミのほかに、手に入るなら鉄、亜鉛、ニッケル、銀、金などいろいろな金属をさしてみて電圧の変化を見てみてはどうでしょうか。あるいは、銅板とアルミ板は変えずにレモンをバナナ、オレンジ、豆腐、大根などいろいろなものに変えるという方法もあります。いろいろと試してみてください。

(AK & YU) 2007/08/09