Q147★鉄くぎのさびの実験をしました。くぎをクリアコップの内側に貼り付けてくぎの半分を水、塩水、酢、さとう水などにつけて、どれがさびやすいか調べました。塩水は予想通りにさびたのですが、酢につけたくぎは酢の中ではほとんどさびないで、酢につかっていないくぎのあたまの部分がすごく変色してどんどんさびがついていきました。酢から何かが出て、そのせいでさびたと思うのですが、わかりません。それと塩水は濃い塩水より少し薄い塩水のほうがさびました。実験が失敗だったのでしょうか?

  
それはね…

自分の予想とちがった結果になってびっくりされたかもしれませんが、鉄くぎのさびについてよく観察されていると思います。
まず、鉄さびができるためには、鉄、酸素と水が必要です。さびのできやすさは、この3つの成分の割合によって大きく変化します。酢のような酸性のものがこれに加わりますと、鉄がさびやすい状態(この状態を「イオン」といいます)になりやすくなりますので、さびができやすくなります。
今回の実験では、目では見えませんが、釘のつかっていない部分もたぶんうすい水のまくでおおわれています。少しでもさびができると、そこがもっとぬれやすくなり、水(この場合は酢)につかっているのと同じになります。
おそらく酢と酸素の濃度が、つかっていない部分とつかっている部分で差があり、このためにくぎの頭の部分がさびやすかったと思われます。また、釘の頭の部分は加工されるときにひずみができやすいので、さびやすくなっています。
次に、鉄のさびやすさは食塩水の濃度によっても変わります。一般に数パーセントの濃度で最大になりますので、これよりも濃いときはさびるのがおそくなります。不思議なことに海水に近い濃度でよくさびることがわかっています。
酸素、水、海水中のいろいろなイオンなどの影響と考えられていますが、その理由はまだよくわかっていません。
なお、鉄さびができるために水が必要なことは、鉄を乾燥した空気中に置いていただけではできないことからわかります。
今後も、安全に注意しながらいろいろなことに興味を持って実験してみてください。


(KT & AK) 2007/08/30