Q52★指紋を調べるとき粉をかけて調べてるようですが、どんな粉を使って、どのように調べているのでしょうか?
それはね…
人間の皮膚には汗腺があり,塩分,タンパク質,アミノ酸,脂肪などを含む汗を分泌しています。したがって皮膚の表面はこれらの物質で覆われていると考えることができます。一方,手のひらや足の裏の皮膚表面には細かな凸凹があり,凸部分が線のようにつながり,特定の模様を形成しています。 この模様のことを例えば指先であれば指紋とよび,掌にあるものは掌紋,足の裏では足紋となります。これらの模様は個人によって異なり,また人の一生の間で変化することはありません。そのために個人を識別する重要な手段となっています。
さて,人が手を使って何かものにふれると,多くの場合指先がそのものの表面に触れることになります。その時,皮膚表面の凸部にあった塩分,タンパク質,アミノ酸および脂肪が,そのものの表面に付着することになります。つまり,版画とおなじような原理で,そのものの表面に指紋の形が転写されることになります。ふつうこれらの物質はごく微量であり,また着色していませんので,目で見て確認することができません。そこで,目で見えるようにさまざまな工夫が行われています。これらが指紋の検出法と言うことができます。指紋の検出法は大きく分けて次のような二通りがあります。
1. 光を通さない細かな粉を指紋の形に添って付着させ,コントラストを高くし,指紋を浮かび上がらせる。
2. 汗の成分と反応して発色する物質を使って,指紋を浮かび上がらせる。
ご質問の内容は1.の方法に関するものと思います。テレビドラマなどで登場する指紋採取の場面はたいていこの方法のようですが,白い粉とはアルミニウムという金属の細かな粉末です。アルミニウムの粉を指紋がついているものの表面に振りかけると,特にタンパク質や脂肪などを含む部分(指紋ですが)に付着しますが,それ以外の部分からはかんたんに取り除けます。そのことで白い粉によって指紋が浮き上がることになります。例えば,よく洗って乾燥した平らなお皿の上に,小さく切ったチーズをのせ,すぐに食べてしまいます。このお皿に片栗粉ひとつまみを振りかけ,お皿を逆さまにして余分な片栗粉を振り落とすと,チーズがのっていた部分に片栗粉が残っているのが確認できるはずです。このようにして採取した指紋は,さらに写真や特殊なフィルムへの転写により保存することになります。この方法は多くの場合有効ですが,ものの表面に凹凸があったり,油などで汚れていたりすると使うことができません。どのような場合にも指紋を採取できるようにさまざまな工夫が行われています。
(RN) 2004/11/29
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