Q60★夜、暗い所で、フライドチキンの食べたあとの骨が青白くボーッと光っていました。どうしてでしょうか?

  
それはね…


どうぶつのほねがくらいところで光って見えたという話はときどき耳にします。どのようなものでも、温度が何千度にもなると光るようになりますが、ふつうの温度でものが光るのは、けい光とかりん光とか呼ばれています。

ケイ光やリン光は、(1)ものに光をあてると、あとから光る場合と、(2)光を全くあてなくても光る場合があります。けいこうとうは電気を消してもしばらく光っていますが、これは、(1)のばあいです。また、ホタルは、全く光のないところでもひかります。これは、(2)のばあいです。

化学の目で見ると骨はリンやカルシウムというものを多くふくんでいます。リンは自然発光といってくうきのなかで、もえて光る性質があります。また、カルシウムには他のものといっしょになってりん光という光を出す性質があります。ですから、このような物質がけい光やりん光を出して、光っていたのかもしれません。

また、ホタルが光るのとおなじような光かもしれません。つぎのおはなしは、少しむずかしいですが、お父さんやお母さんに助けてもらって読んでください。

肉などが腐るときに青白く光る現象は、3000年ほど昔のアリストテレスの時代から知られています。これは、食物中で光を出す細菌(発光細菌)が繁殖して盛んに活動するときによく光るようです。このような光る細菌は、グラム陰性の桿菌(かんきん)の仲間でヴィブリオ群ヴィブリオ属あるいはフォトバクテリウム属という菌の種類で見られるそうです。このような光る細菌は、陸上よりも海水中に多く、イカや魚の体表に住んでいるものが多いそうです。このような細菌を利用している魚やイカの仲間もおり、水族館で見られるマツカサウオやヒカリイシモチ、あるいはアンコウでは発光器という体の一部分に発光細菌を住ませて、その光を利用して仲間同士のコミュニケーションを取るものもいます。
どのようにして細菌が光を出すかというと、食物の脂肪酸という物質からいくつかの酵素反応によってアルデヒドという物質をつくり、菌が持っているフラビンという物質と酸素の3つの物質からフラビンの過酸化物ができ、これがルシフェラーゼという酵素により分解されるとき光が出ることが知られています。なぜ、細菌が光るのかは、いろいろ議論されていますが、ひとつの意見として、細菌に対して毒である酸素をうまく分解するしくみとしてこのような複雑な酵素の反応を組み合わせて無毒にしているということが言われています。

よる青白く光るのは、ぶきみな感じがしますので、昔はこういう光を「ひとだま」と言ったり、ゆうれいと結びつけてこわがっていたのでしょう。でも光を出すことはものの大切な性質で、ものからの信号なのです。これをよく観察することでいろんなことがわかります。うちの中の暗いところで光るものがきっとほかにも見つかると思います。どんなものが光るかまた気をつけて見てください。


(AY & NI)