Q8★化学の先生が普通のジュースの缶(アルミ)で100ボルト位で一時間は使えると言ってましたが、自分で缶をつかい電池を作って電球をつけることはできるのですか?

  
それはね…

 備長炭などの炭、アルミニウムでできたジュースの空き缶、食塩、水、脱脂綿、糸があれば、空気−アルミ電池を作ることができます。
 備長炭などの炭は微細な穴が多数開いており、この中に空気が入っています。この空気の中の酸素が電池の発電に使われます。炭に脱脂綿を巻き付け、次にこの脱脂綿がほぐれないように脱脂綿を糸で固定します。この脱脂綿に、あらかじめ用意した食塩水をしみこませてから、その全体をアルミニウムの缶に入れます。炭とアルミニウムが直接接触しないように注意して組み立てれば、これで空気−アルミ電池ができあがりです。
 この電池は、炭がプラス(+)側、アルミニウムがマイナス(−)側です。この電池は、電圧が約1ボルトです(普通に使われている乾電池の電圧は、1.5ボルトです)。空気−アルミ電池の性能はその作り方によって変わりますが、多くの場合、懐中電灯などで使われている小さな豆電球を一つ点灯できるくらいの電気を取り出せる程度の能力しかありません。
 家の照明などに使われている電球は、100ワットくらいの電気が必要です。先の豆電球が1ワットくらいの電気で点灯しますので、その100ワットの電球を点灯するためには空気−アルミ電池が100個ほど必要です。空気−アルミ電池を100個作って直列につなげば、原理上は100ワットの電球を灯すことができます。ただし、空気−アルミ電池からは、長時間電気を取り出すことができません。電気を取り出すと、炭素に含まれている空気の中の酸素が減少します。また、アルミニウムの表面が錆びていくので、電池の電圧が1ボルトからしだいに0ボルトに向かって小さくなり、やがて、電気を取り出すことができなくなります。
 私も以前、空気−アルミ電池を作り、豆電球を点灯させたことがありますが、ほんの一瞬(1秒くらい)電球が光っただけで、すぐに消えてしましました。そのように、手作りの電池で大きな電球を1時間も点灯するのは、かなり難しいと思います。
 なお、空気−アルミ電池の製作やそれを使った実験は、必ず学校の先生などの大人といっしょに行って下さい。アルミニウム缶で手を切ったり、食塩水が目に入ったりするなどの危険があります。くれぐれも気をつけて下さい。



(ST) 2003/06/02