Q147★アルコールの実験で「水およびヘキサンへの溶解性と液性」を調べました。(1)メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールに水を加える。→溶解性は炭素数が多いアルコールほど、水に溶けにくいというのは調べてわかったのですが、色とにおいの観察もして「甘いにおい」や「マニキュアのようなにおい」がしました。色はみんな無色透明で、これらのアルコールが水を加えたときにどのような液性になったのかがわかりません。
(2)メタノール、1-ブタノールにヘキサンを加える。→メタノールは分離し、1-ブタノールは溶けました。調べたときに、親水性や親油性という言葉が出てきたのですが、意味がよくわかりませんでした。ヘキサンを加えたことで何がわかったのですか?
(3)実験とは関係ないのですが、アルコールの命名法がよくわかりません。ブタノールC4H9OHの異性体で、みんなCは4つなのに、どうして2-メチル-1-プロパノールや2-メチル-2-プロパノールのように「プロパノール」という言葉になるのですか?



(1)液性というのが、酸性、塩基性、中性のいずれか、という意味であれば、アルコールを水に溶解させても中性です。

(2)親水性、親油性は、分子の構造を考えると分かります。メタノールは、メチル基(CH3)と水酸基(OH)からできています。メチル基の部分は、マイナスの電子とプラスの原子核が平均化して存在していて、全体として電荷のかたよりがほとんどなく、このような分子(分子の一部)を親油性の性質を持つといいます。一方、水酸基の部分は、酸素にマイナス、水素にプラスの電荷が偏っており、親水性の性質を持ちます。親油性のものと親油性のもの、親水性のものと親水性のものは互いに混じったり溶けたりしやすいのですが、親油性と親水性のものは、混ざりにくいのです。ヘキサンは、非常に親油性の性質が著しい分子です。そのために、親水性の水酸基をもつメタノールとは混ざりません。しかし、1-ブタノールになると、ブチル基(CH2CH2CH2CH3)が親油性で、水酸基の親水性に比べて分子の多くの部分を占めるために、親油性の性質が強くなって、ヘキサンに溶けるようになります。

(3)アルコールに限らず、炭素がつながった化合物の命名は、まっすぐな一番長い炭素のつながりを基本にして命名することになっています。ブタノールは確かに炭素が4つですが、その炭素が全部一列にならんだのが1-ブタノールです。他の異性体は、炭素が4つとも1列に並んではいなくて、一番長く並んだ鎖は炭素が3つになります。炭素が3つのアルコールがプロパノールなので、プロパノールを基本にして命名します。あとは、プロパノールの水素をメチル基で置き換えると考えて、メチルプロパノールなどになります。


(TM) 2005/08/22