Q27★人間には何故利き手があるのですか?また、人によって利き手が違うのは何故ですか?右利きの人が多い理由・左利きの人が少ない理由も教えてください。 どんな生き物も左右に存在する身体の各部位は完全には左右対称な形でなく、その機能も微妙に異なります。このような機能の非対称性がなぜ生じるのか良くわかっていませんが、各部位の機能を制御している脳自体が左右非対称であることに起因している可能性があります。しかし、これは逆に、身体の各部位の非対称性が原因で左右の脳の機能が非対称になったとも考えられます。身体の部位で非対称性を示す代表的な部位が、ご質問の「手」であると言えます。人間以外の生き物でも、何らかの作業をする際に「使いやすい手」、すなわち「利き手」がありますが、人間以外の生き物では左利きもいれば右利きもいます。しかし、人間はほとんどが右利きで、左利きの人は、全体の約10%くらいしかいないそうです。しかも、右利きが圧倒的に多いのは、生き物の中でも人間だけに見られる顕著な特徴だそうです。 それでは、なぜ人間には右利きが多いのかと言うことですが、人類は二足歩行をはじめ、道具を使い、言葉を操るようになる進化の過程で、脳が大きく発達し、それとともに右利きが増えたと言われています。この進化の過程は、生まれて間もない子供たちの発達の過程でも再現されますが、0〜2歳くらいの子供の様子を見てみると、今日は右手で積み木遊びをしていたかと思うと、翌日は左手で絵を描いているといった具合で、左右どちらの手も上手に使っています。その子供たちの利き手がしっかり決まってくるのは、だいたい3〜4歳くらいです。では、なぜこの時に全ての子供が右利きにならないで、左利きになる子供がいるかは、以下の諸説があります。 ひとつは遺伝説です。しかし、これは遺伝的に同一である一卵性双生児でも一人は右利き、もう一人が左利きになる子供がいることで信憑性が少ないとされています。もうひとつは、利き手が決まる3〜4歳くらいまでに左手を使うことが多かった子は左利きになるという環境説です。さらには、胎内での成長過程もしくは出産時に何らかの原因で左脳を圧迫する事態が発生して、その左脳のはたらきを補うために右脳が活発になって左利きになるという説もあるます。しかし、現在のところ、どの説が有力とも言い切れない状況で確定していません。 余談ですが、左利きの場合、脳の作りが右利きと違っている場合があり、次の3種類にわけることができます。(1)右利きの人の脳とあまり変わらない。(2)左右の脳が反対になっている。(3)言語能力(右利きでは左脳)や空間能力(右利きでは右脳)が左右両方にある。(1)と(2)は単に利き手が違うだけです。しかし、言語能力や空間能力が左右両方の脳にある場合には、右利きの人よりも、左右両方の脳を使う頻度が高いことになります。これは統計的にも実証されており、話をするときに主に左脳だけを使うのは、右利きの大人の場合90〜95%なのに対し、左利きでは約60%だそうです。左利きの人の残り40%は、左右の脳を駆使して話をしていると考えられています。せっかく左脳と右脳があるのだから、どちらか一方ばかりを使っているのはもったいないことです。右利きの人も、左手をもっと使うことによって、左右の脳をより良く活かすことができるでしょう。 (<http://www2.health.ne.jp/topics_f/20030221.htmlhttp://www2.health.ne.jp/topics_f/20030221.htmlを参考にまとめました。) (KT) 2003/08/26 |