Q273★レモン汁とミルクが分離するのはなぜですか?


この現象はいわゆる「タンパク質の変性という」現象です。

「タンパク質」という言葉は聞いたことがあると思いますが、これはいくつかの種類のアミノ酸がたくさんつながってできたものです。このタンパク質は、ある順番でアミノ酸がつながって(これを一次構造といいます)、一筋にまっすぐつながっているだけではなく、タンパク質自身がらせん構造を取ったり(これを二次構造といいます)、いくつかのタンパク質が集合して1つのタンパク質を形成していたりします。(他にも三次構造、四次構造があります。)このような、普通の状態のときに持っているタンパク質の構造が,ある原因で,一次構造だけはそのままで,他の構造が変化して,元の性質と違った性質を示すようになり、元の構造に戻らなくなることを変性と言います。

変性の原因はいろいろあります。質問の件は酸による変性です。ミルクにレモン汁を入れると,はじめは混ざりあいますが,すぐにもろもろが出てきて下に固体がたまります。ミルクには,カゼインというタンパク質が主成分として存在します。タンパク質以外に乳脂肪もあり、これらが,コロイド溶液となっているためミルクは白色(不透明)になっています。レモンの中に含まれているいろいろな酸(主としてクエン酸)が作用して,カゼインが変性して固体として分離してきて底にたまります。乳脂肪も分離沈でんしてきますので、この固体の中には脂肪(バターと同じ)も含まれています。

ミルクを加熱すると薄い膜が張ってきますが、これも変性によるものです。ゆで卵、焼き魚、煮魚、など全て熱による変性を利用したものです。このように、変性の原因としては、酸性のほか、アルカリ性、有機溶媒、重金属塩、界面活性剤(石けんや合成洗剤)、尿素などの化学的原因と、加熱、凍結、高圧、超音波、紫外線、X線、撹拌、吸着、希釈などの物理的原因など、いろいろあります。
いろいろなタンパク質でいろいろな原因での変性を調査して、試すのも面白い自由研究になるのではないでしょうか?

(MA) 2007/08/08