Q274★湖の水は淡水なのに、なぜ海水には塩が溶けているのですか?

 まず、海がどうしてできたかを考えることが必要ですね。
海水の起源については,まだ確かなことがわかっているわけではありませんが、
地球の起源に関係するという考えが有力な説の一つです。地球ができた頃の地球表面の元素の成分は、現在の宇宙を構成している元素の成分と同じであると考え、そのうち、軽い気体はどんどん拡散して、現在の地球の原型ができた30億年ぐらい以前には、地球表面の空気の主成分は,水蒸気(H2O),二酸化炭素(CO2)、塩化水素(HCl)や二酸化硫黄(SO2)であったようです。地球表面がどんどん冷えるにしたがって水蒸気は水になり、塩化水素や硫化水素は水に溶けて、酸性の水ができます。大量の塩化水素が溶けた水ですので,薄い塩酸と考えても良いですね。その頃の地表の水の酸性は,人間の胃の中の塩酸の濃さ(0.1モル/L、pH1)と同じぐらいだったと見積もられています。この酸性の水に,地表のいろいろな鉱物が溶け出して,現在の食塩(NaCl)や塩化マグネシウム(MgCl2)などをいろいろな金属イオンを含んだ海水が生成します。また空気中の二酸化炭素も水に溶け水中の金属イオンと結合して沈殿となり炭酸カルシウムなどを地表面に形成して行ったようです。また、地球生成期に、地中の鉱物の中の水が徐々に地表に噴出したり、地中から出てきた酸性物質が岩石を溶かした水溶液が、徐々にたまって生成したともいわれています。
 それに対して、陸上の湖は、海のできた時代よりずっと遅れて、地球が冷たくなった後に、地殻変動などによりできた水たまりと考えれば、海水みたいにいろいろな物質を溶かしていることがないことも理解できます。また普通の湖では,そこの水は長く存在せずつねに入れ替わっていますので、溶け出した成分も濃くなることはありません。一方で,カスピ海や死海は海水以上に塩を多く含んだ水をためており、塩湖と呼ばれています。これは、もちろんそのでき方にもよりますが、流れ込む川はありますが流れ出る川がなくどんどん塩の濃度が高くなったとも考えられますね。アメリカのソルトレークもその一つです


(MA) 2007/08/08