Q281★10%の塩水、5%の塩水、水道水、この三種類で氷を作り水温22℃の水に入れ、溶かす実験をしました。(室温は32℃)溶ける速さは、10%、5%、水道水、の順になりました。溶けきったものを温度計ではかったところ、溶ける速さの順とは違い、10%が15℃、5%が14℃、水道水が14.5℃になってしまいました。溶ける速さの順と溶けきったものの水温は関係がないのでしょうか?


まず、実験の仕方から確認させてくださいね。
「私は10%の塩水、5%の塩水、水道水、この三種類で氷を作り水温22℃の水に入れ、溶かす実験をしました。(室温は32℃)」
ということですが、「氷を作り」とありますので、2種類の塩水と水道水をそれぞれ凍らせたということですね。これをそれぞれ22℃の水にいれて(溶かすではなく)「融かす」実験をしたということでしょうか。
なぜ、それぞれ温度が14-15℃になったかということを考える前に、この時に行った実験の条件について、考えてみましょう。
まず、それぞれの「氷」を水に入れるとき、おそらく水の質量はどれも同じにしたと思います。
また、入れる「氷」の質量もそれぞれ同じ位にしましたね?その前提で答えてみたいと思います。
まず、塩水が凍るときには実は殆ど食塩は水の中には入り込みません。凍る途中は「氷」と「濃い食塩水」に分かれてしまいます。そのため、食塩水を凍らせてもほとんど水だけが凍ったのと同じ状況になりますし、食塩の量が多いほど、どうしてもとけ残ってしまいます。(最終的には-21.3℃まで温度を下げないと全ては固まらないことが知られています。)
10%と5%の食塩水を使っていますから、その中の水はそれぞれ90%、95%分の質量だけ含まれていることになります。氷を水に入れた場合、氷は水から熱を奪って凝固点まで温度は上昇し、氷が溶けます。特に氷が溶ける(融解する)とき、かなりの熱を水から奪いますから、実際の氷の質量が多い5%の食塩水の方が、より多くの熱をうばうため、少しだけ温度が低かったと考えられます。
ただし、その温度差は1℃だけですから、あまり差があるとは言えませんね。だとするとどのように実験方法を変えればよいでしょうか。氷によって奪われる熱量を増やせばよいわけですから、たくさんの氷を加えればよいことになります。また、水の量もすこし減らしてもよいでしょう。こうすることによって、差が大きくなるかも知れません。
水道水を使った場合も同じように実験をしたと思います。ですから、この場合も氷の量を増やしてみてください。このように変化の原因となる物質の質量を大きくすれば、差を大きくすることが可能になります。
このような実験の工夫は、今後もたくさんでてくると思います。まずは、実験結果の違いを大きくする工夫をして、そのあとで、じっくりと考えるようにしてみて下さい。
それともう一つ。実験をするとき、もしビーカーを使っているのでしたら、その周りを発泡スチロールなどで囲ってみてください。こういった温度を測定するときには、周りの温度の影響をできるだけ取り除く必要があります。これも実験の時の工夫の一つです。
もう一度実験をしてぜひ正確な結果(データ)を取ってみて下さい。

(MM) 2007/08/20