Q291★看板などを見ると赤い色は黒や青に比べて消えやすいようです。なぜでしょうか。


人が感じる色は光があってのことです。太陽光をプリズムで分光すると虹色に別れるように、いわゆる光の三原色が含まれています。光は電波や携帯電話で使われているマイクロ波と同じ電磁波の中の一つで、X線もまた非常に波長の短い電磁波です。電磁波の中で人が明るさとして感じ取れる部分が可視光と呼ばれています。電磁波は基本的には波と考えることができ、波長が短いほどその電磁波の持っているエネルギーが大きいことは科学的に解っています。そして、可視光の中では紫色の光が一番波長が短く、赤色光が一番波長が長い電磁波です。紫色の光よりもう少し波長が短く人が光として感じることが出来ない電磁波を紫外線と呼び、逆に赤色より少し波長が長い電磁波を赤外線と呼びます。それらを人は光としては感じることは出来ませんが、様々な影響を受けています。
さて色の話ですが、多くの物質は自身で光を発することは出来ません。光を発している物質以外は、物質が外からの光を受けた結果を色として感じとることができます。つまり、私たちが感じることが出来る物質の色は、光が物質に当たってその一部が吸収され、吸収されなかったを光を色として感じることが出来るのです。前述のように太陽光には人が感じる全ての色が含まれているので、それを白(白色光)と感じます。その白色光を全て吸収するような物質は光が全く反射も透過もしないので黒と感じます。ところが、もし赤い色だけを吸収するような物質に白色光が当ると、赤い色が吸収されて、それ以外の光が反射されたり、透過したりすることで、白色光から赤色を除いた部分の光を感じとることになり、それを赤の補色と言います。この場合人はそれを青緑色に感じ取ることになります。もし青緑色を吸収する物質があれば、それは赤く見えます。
さて先ほど述べたように、青い光は赤い光よりエネルギーが大きく、その光を吸収するということは、そこで物質が少しずつ化学変化をしていると考えることができます。高いエネルギーの青色を吸収する物質、すなわち赤色に見える物質の方が、青色に見える物質より速く変化してしまうことになります。その結果退色も速いということになります。したがって、青色色素(赤色光を吸収する物質)ほど安定な赤色色素(青色光を吸収する物質)の合成がはまだ出来ていないということになります。
黒色色素は本来非常に安定な物質で、光を吸収しても熱を持つだけであまり変化をしないため、例えば炭や墨のように長持ちするものがあります。

(MA) 2007/09/05 - 2020/01/24