Q295★何年か前に物質は消えると大学の先生から聞きました。極端な話すごいエネルギーを物質にぶつけると物質自体が消えるそうです。というかその物質自体がなくなるそうです。原子爆弾にもこれが応用されていると聞いたのですが、これって質量保存の法則に反してませんか?


化学の世界では質量保存の法則は最も基本的な重要な法則です。通常の化学の世界では原子は変わらないと考えてまちがいありません。化学反応が起こっても、それは原子の組み換え(化学結合の変化)が起こっただけで原子自身は変化しません。原子は原子核と電子からできていますので、原子が変化しないというのは、原子核や電子は変化しないということです。ところが、原子核は色々な数の陽子と中性子からできており、実際には原子核が変化することがあるのです。放射能というのは放射線を放出する性質のことですが、放射能をもつ物質が放射線を放出する時、原子核が変化してわずかに質量が減少しているのです。その質量の減少分が放射線のエネルギーに変わったのです。すなわち、エネルギーと物質の質量は互いに変換できるのです。その関係式はE=m×c2です。ここで、Eはエネルギー、mは質量、cは光の速度です。この式によれば、わずかの質量が膨大なエネルギーになることが分かります。原子爆弾や原子力発電では、人工的に原子核が分裂する反応を起こし、その時の質量の減少分が大きなエネルギーになるわけです。
放射能や核分裂など原子核が変化するときには質量保存の法則は厳密には成り立たないということですが、通常の化学変化では質量保存の法則は成立しています。

(FT) 2007/09/18