Q300★紅茶にでんぷんのりをいれて冷蔵庫に入れ1日たって取り出してみると表面に氷が凍っていました。普通冷蔵庫では紅茶は凍りませんよね?でんぷんのりで凝固点さがるわけもないし、なぜでしょうか。


 表面に氷が張っていた状況が今ひとつ想像できませんが、解答の一つとしては次のようになるのではないでしょうか?

 でんぷんのりは、でんぷんに水を加え、熱することでできるものです。でんぷんというのはα-グルコースという分子(これを一般に“糖”と呼びます。お砂糖も“糖”の一種です。分子式は(C6H12O6)nになります。)がたくさんつながった構造をしており、これらが直線構造やらせん構造をとった分子です。
 でんぷんに水を加えて熱すると、でんぷんはその構造の中に水分子(H2O)をうまく取り込んで、しだいに膨張します(ゲルというものを知っていますか?網目状の構造をしていて、その網の中に水分を取り込むことで、液体でもなく固体ともいえない、半固体とも言うべき物質ですこのでんぷんのりもそのゲルの一種です)。加熱をずっと続けると、最終的にはでんぷん自体の構造が崩壊して溶解します。この現象を糊化(こか)といいます。このとき、でんぷん水溶液は白くにごった状態からしだいに透明になり、急激に粘度を増していきます。でんぷんの粒子が最も多く水分子を取り込んだ時が、最も粘度が高い時で、でんぷん粒子の崩壊により粘度は低下します。
 でんぷんのりは、でんぷんがたくさん水分子を取り込んだ時のもので、例えば障子などを張り替える時にのりとして使えるのは、でんぷんを塗った後、放置することで、でんぷんが取り込んだ水分子が、でんぷんから遊離し、蒸発することででんぷんが再び固まるからです。
 糊化(こか)したでんぷんの溶液を冷却した場合も、でんぷんは、取り込んだ水分子をゆっくりと遊離していくため、その溶液はしだいに白くにごっていきます。これを老化と呼んでいます。
 観察された現象は、でんぷんがしだいに水分子を放出し、自らも白く、水に溶解しない物質へと変化し、その上に放出された水分子が集合し凍ったものではないかと推測できます。

(TK) 2008/01/16