Q321★硫化水素水に酢酸鉛試験紙をつけたらどうなりますか? そもそも酢酸鉛試験紙とはどういうものでしょうか? また、硫化水素水、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅のそれぞれの水溶液を混ぜたらどのような化学変化が起こりますか? 色が変化するということはわかっているのですが、なぜかがわかりません。 酢酸鉛試験紙とは、酢酸鉛(II)三水和物 Pb(CH3CO2)2・3H2Oの水溶液を浸み込ませて乾燥したろ紙のことです。 この試験紙を硫化水素や硫化物イオンを含む溶液に触れさせると、Pb2+イオンが硫化物イオン(S2-)と反応して硫化鉛(PbS)を生成するため、褐色ないし黒色を呈します。 硫化水素は弱酸で、水溶液中で部分的にH+とS2-に電離しています。このS2-は、多くの金属イオンと硫化物を形成して沈殿を生じます。 お尋ねの硝酸銀や硫酸銅の水溶液には、銀イオン(Ag+)や銅イオン(Cu2+)が含まれているため、硫化水素水と混合すると、それぞれ、硫化銀(Ag2S)、硫化銅(CuS)を形成して、黒色の沈殿を生じます。 塩化ナトリウムの水溶液の場合ですが、Na+イオンはイオン化傾向が大きいため、硫化物が沈殿しやすいアルカリ性の条件下で硫化水素水と混合しても、硫化物の沈殿は生じません。同様に、硫酸アルミニウムについても硫化物の沈殿は生じません。アルカリ性条件下で混合すると白色沈殿を生じることがありますが、これは水酸化アルミニウム(Al(OH)3)によるもので、硫化物の沈殿ではありません。 (KW) 2009/05/12 |