Q324★感熱紙の性質の実験をしています。印刷して黒くなった感熱紙をエタノールに浸したら、黒い色が消えました。その液に酢を入れると黒っぽくなり、それに重曹を入れると色が消えたので、感熱紙の成分は、アルコールに溶け、酸性になると色がつき、アルカリ性になると色が消える性質があることがわかりました。今度は、感熱紙を浸したエタノール液に、水道水を入れてみたら、ピンク色になりました。これはなぜなのでしょうか?


 感熱紙には、酸と反応して発色する化合物(ロイコ染料といいます)と酸性の化合物(顕色剤といいます)が、それぞれ塗り付けてあります。これらはどちらも無色であり固体状態で塗り付けてあるので、そのままでは反応せず、未使用の感熱紙に色はついていません。
感熱紙の表面を熱すると、顕色剤が融解して液体となり、まわりのロイコ染料に触れて反応します。その結果、ロイコ染料の分子構造が変化して発色します。これが感熱紙の原理です。
 ロイコ染料は有機化合物であり、エタノールのような有機溶剤によく溶けます。黒くなった感熱紙をエタノールに浸すと色が消えたのは、このためです。また、ロイコ染料を溶かしたエタノール溶液に酢(酢酸)を加えると、酢は酸性ですから顕色剤のときと同じように反応が起こって黒っぽくなります。反対に、アルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えると、酢を加えたときの逆反応が起こって黒っぽかった色が消えます。
 さて、ロイコ染料を溶かしたエタノール溶液に水を加えると、うすいピンクに変わるようです。なぜこのような変化が起こるのか、残念ながら、その理由はよくわかりません。


(KF & TM) 2009/08/24