Q325★実験で錆について調べています。酢と鉄の化学反応式と水と鉄の化学反応式を教えてください。あと、なぜ漂白剤は錆びにくいのか教えてください。 鉄の錆は次のように起こると考えられています。 段階1 鉄がイオン化する(酸化される) Fe → Fe2+ + 2e− 段階2 鉄が放出した電子を介在して、水と酸素の存在下で水酸化物イオンができる H2O + 1/2O2 + 2e− → 2OH− 段階3 鉄イオンと水酸化物イオンが反応して水酸化鉄ができる Fe2+ + 2OH− → Fe(OH)2 段階4 さらに、酸素により酸化されて赤錆に変化する Fe(OH)2 + H2O + 1/2O2 → Fe(OH)3 すなわち、鉄が錆びるためには水と酸素が必要です。酢のような酸性の液体中では、段階1のイオン化が速く進むため錆びやすいと考えられます(参考として中高生の質問コーナーQ157とQ301の回答も見て下さい)。反応式は酢中でも水中でも同じになります。 もう一つの漂白剤に関する質問ですが、漂白剤と言っても市販品には塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、還元型漂白剤の3種類があり、どの種類の漂白剤を用いられたか分からないので順番に説明していきます。 まず、塩素系漂白剤は主に次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を含みます(プール臭がします)。この水溶液は強アルカリ性であるため、段階3の水酸化鉄の薄い膜が鉄表面を強固に覆い、不動態膜として働きそれ以上の酸化を防ぐ役割を果たすと考えられます。 次に、酸素系漂白剤は主に過炭酸ナトリウム(2Na2CO3∙3H2O2)を含み弱アルカリ性になっています。上と同じ理由で酸化を防ぐ膜ができて酸化が進行しないことが考えられます。 最後の還元型漂白剤は、二酸化チオ尿素(NH2NHCSO2H)を含みます。これは上の二つとは性質が異なり、たとえ鉄がイオン化されてFe2+ができてもFeに戻す(還元する)働きをするので段階1の鉄のイオン化がかなり起こりにくく、錆にくいことが予想されます。 (TK) 2009/08/24 |