Q331★状態変化は固体になると体積がいちばん小さくなると習いました。しかし水の場合は例外で固体になると体積が大きくなると習いました。なぜ水だけは例外なのですか?


物質(分子や原子)は温度が上がると、その動きが活発になり、下がると動かなくなってきます。
(逆に動きが激しいときを温度が高いといい、動きが少ないと温度が低いといいます)
分子や原子は互いに引き合い、整列しようという性質もあります。互いに引き合う力を振り切って自由に動くようになった状体が「気体」で、体積は最も大きくなります。温度が下がり、熱による動きが小さくなると、集合する力により液体となります。さらに温度が下がると単に集まるだけでなく、多くは規則正しく整列します。(結晶といいます) (ガラスのように規則正しく並んでいないのに「固体」状態になっているものもあります。これは温度が下がって「動けなくなってしまった液体」ともいえます)
普通は、液体から固体になるとき、分子(や原子)はできるだけ互いに近寄ろうとするので全体としては体積が小さくなります。水滴が丸くなるのも宇宙に浮かぶ星や地球が丸いのもこれと関係があります。
水の分子は、整列するとき少し隙間のある並び方になります。これは水の分子の形や、水を構成している原子の性質のためです。*注(氷の一種である雪の複雑な形もこの水の特殊な性質と関係があります。) このため凍るときには、小さな隙間を作って並ぶので体積が増加し、溶けるとき氷のブロックから外れた分子がその隙間を埋めるようなことが起こるため、体積が小さくなります。この特殊な並び方で整列をしようとする力はかなり強く、温度が上がって氷が溶け、液体の水になってもこの並び方になろうとして、数個の水分子が互いに氷のように並んでいる瞬間があるそうです。0℃以上では、熱による分子の動きにより、次の瞬間にはこの並びは壊れるのですが、別の分子とまた並ぼうとします。4℃までは温度が上がることにより分子の動きが激しくなって氷の構造でいる時間が短くなって体積は小さくなります。さらに温度が上がると、温度による膨張の方が大きくなって、次第に体積は大きくなります。
他の分子でも固体になるとき特定の向きで整列するのですが、普通は集合する力が強く、一番密になるような並び方をとるので、体積が小さくなります。水の場合だけ集合する力より特定の向きに並ぶ力のほうが大きいともいえます。

*注
水の分子は水素原子(H)2個が1個の酸素原子(O)に結合してできていますが、水素(H)-酸素(O)-水素(H)が折れ曲がって並んだ形(くの字形でその開く角度はOを中心に約104.5度)になっています。そして、隣り合った水の分子のそれぞれの酸素(O)がひとつの水素(H)を引っ張り合うような形つまり O-H…O が直線になるように並ぶのです(水素結合といいます)。さらにその隣にいる水分子とも、同じような関係で並ぼうとするので、全体としては折れ曲がって並び、隙間ができるのです。

(AK & TM) 2010/01/18