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Q396★コロイド溶液について質問です。参考書にはゼリーの分散系は、分散媒が固体で分散相が液体の固体エマルションと書いてありますが、寒天の場合、分散媒は固体化した水で分散相は何になりますか? また、寒天で餡を固めた羊羹の場合、分散系はどのようになるのでしょうか?

ゼリーと寒天は、共に分散媒が固体で分散質が液体の固体エマルション(固体コロイド)に分類されます。分散質(分散相ともいう)はどちらも水ですが、分散媒はゼリーがタンパク質のひとつであるコラーゲンを主成分とするゼラチンなのに対して、寒天は多糖のひとつである食物繊維(アガロースやアガロペクチン)からできています。そのため両食材は形状が似ていますが、化学的には異なる物質からできているといえます。ちなみにゼラチンはコラーゲンが含まれるウシやブタの皮や骨などに熱を加え抽出して生産しています。一方、粉寒天はテングサやオゴノリなどの海藻類に熱を加えて抽出し乾燥させたものです。ゼリーや寒天を使った料理では、初めにそれぞれゼラチンと粉寒天を水に入れて沸騰させます。高温では流動性があるゾル状態の溶液ですが、冷却すると固まってゲル状態になります。この時、コラーゲンあるいは食物繊維が集まって網の目状の構造を形成し、網の目の中に水分子を大量に閉じ込めてしまいます。食べた時にみずみずしさを感じるのは、咀嚼時に網の目の中から水が出てくるためです。この状態を分散質側から表現すると、水分子が複数集まってできたコロイド粒子が網の目の中に分散しています。ゼリー・寒天の分類分けして、その組成と状態をまとめると以下のようになります。
固体コロイド:分散媒(固体)―ゼラチン(コラーゲン)や粉寒天(食物繊維)からなる網の目
         分散質(液体)―水分子が複数集まってできたコロイド粒子
最後に羊羹についてですが、これも分散媒が主に粉寒天、分散質が水の固体コロイドと考えて良いと思います。羊羹はあんこと水と粉寒天を混ぜて溶かして固まらせたものです。水と粉寒天の割合によって水羊羹と羊羹の作り分けができます。そして、どちらも食物繊維からなる網の目の中に水、砂糖、小豆が閉じ込められた状態になっていると思われます。似たような食材にコンニャクがあります。調べてみてはいかがでしょうか?


高3 (KM) 2021/11/0401