.
Q397★土間であるタタキは水酸化カルシウムと土や砂を水で練って空気中の二酸化炭素と反応させ炭酸カルシウムを合成させて固化させるといいます。石灰が入っているので強アルカリ性になっていると思いますが、もし土がとても強い酸性だった場合、固化に影響がでるのでしょうか。つまりタタキや漆喰などの気硬反応は酸性アルカリ性に左右されるのでしょうか。 三和土が形成される主な化学反応は、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)が空気中の二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)が形成される反応です。 Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O 消石灰が水に溶けると水酸化物イオンが出るので塩基性(アルカリ性)になります。しかし、水への溶解度が高くないので(1.7g/L, 25 ℃)、他のアルカリおよびアルカリ土類金属の水酸化物と比較すると塩基としての作用は弱いです。一方、二酸化炭素が水に溶けると炭酸(H2CO3)が生じ、弱酸性となります。二酸化炭素の水への溶解度は消石灰とほぼ同じです(1.5g/L, 25 ℃)。そのため、消石灰が水に溶けて生じる塩基性は、炭酸の影響で少し弱まります。また、炭酸カルシウムは中性の水にはほとんど溶解しませんが(溶解度:0.0014g/L, 25 ℃)、酸性の水溶液には少し溶解します。従って、消石灰と二酸化炭素の反応による炭酸カルシウムの生成反応(三和土の形成)は、水溶液の酸性度の影響を多少受けると考えられます。しかし、一般的な土の酸性度は4 ~ 8であり、pH4.5 ~ 5.0の酸性土でも三和土が作製できることが報告されているため1)、大きな影響は受けないと思われます。もし、ご質問の“強い酸性”がpH1 ~ 2などの強い酸を含む土である場合(例えば塩酸を含む土)、消石灰は塩酸と反応して塩化カルシウムを生じるため、炭酸カルシウムの生成は低下します。 Ca(OH)2 + 2HCl → CaCl2 + 2H2O まとめますと、三和土の形成反応は一般的な土の酸性度の範囲では大きな影響を受けませんが、土の酸性を極端に高くすると、その影響を受けて形成されにくくなります。 参考文献 1) 青森県立名久井農業高等学会Treasure Hunters, 乾燥地の土壌流出抑制と食料増産を可能にする多機能集水技術の開発, 高3 (MM) 2022/1/27 |