.
Q415★昇華のしくみについて教えてください。二酸化炭素が、水などと違い、大気圧のもとで昇華することは、三重点のグラフで説明されていて、他の参考書を見ても同じでした。ただ、このグラフ自体はあくまでどの圧力、温度で気体、液体、固体になるかという結果を、ビジュアル化したものであって、分子のレベルで、水と二酸化炭素で変化の仕方がどう違うのかばわかりません。分子運動論では、水の小さな粒が、温度が上がると運動が激しくなり、周囲の分子との結合が緩くなり、やがて完全に切れてしまうために、固体→液体→気体として外に出る、という説明がとてもわかりやすかったのですが、こういう感じの理屈で、なぜ二酸化炭素は直接固体から気体になって、水は液体をはさむのかについて説明することはできないでしょうか? 物質の状態変化の中でも凝固に関しては、様々な要因が絡むので一概には言えないので、一つの考え方です。 水を例にとると、大気圧条件下で温度を上げていくと液体から水蒸気、つまり気体へと状態変化を起こし、温度を下げていくと氷、すなわち固体へと状態変化をしますね。この時、大気圧に蒸気圧が打ち勝っている気体の状態のみが、自由に分子が飛び回ることができています。もう少し簡単に言うと、大気圧が抑え込んでいる力に打ち勝った時に分子は自由に飛び回ることができるということです。 大気圧に抑え込まれている間は、分子は自由に飛び回ることができずに集合しています。この時、流動性を持つのが液体、流動性を持たないのが固体です。 もう少し簡単に言うと、分子同士が手をつないで入るものの、自由に動き回っているのが液体で、整列して動かないようにしているのが固体です。 分子を整列させる影響力を与えているのが、格子エネルギーと呼ばれるものであり、これは分子同士が引き合う力などで決定されます。整列しやすいおとなしい分子(二酸化炭素のように折れ曲がったりすることのない剛直な分子)であれば整列させやすいのですが、例えばヘキサン(C6H14)のようなぐにゃぐにゃと変形しやすい分子は整列させにくいということは、想像できると思います。固体の状態からエネルギーを与えていくと、ヘキサンはあまり整列していたくない分子なので、簡単に整列するのをやめて液体になります。これに対し、整列しやすい二酸化炭素はエネルギーを加えても整列したままで、整列を崩すエネルギーを通り超えて、分子が持つエネルギーが大気圧に打ち勝ち、固体から直接気体に変化するということです。 高2 (MT) 2024/07/05 |