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Q422★ダニエル電池に関する質問です。
質問1) ダニエル電池において、亜鉛板中の亜鉛が溶ける理由は、「イオン化傾向の大きい金属をイオン化傾向の小さい金属のイオンを含む水溶液に入れると化学変化が起きるからだよ」と先生に言われましたが、ダニエル電池では、亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に入れていると思います。
この状態では、化学変化が起きる状態を満たしていないと思います。
中・高生の質問コーナーのQ38に、「電池の放電を行わない時(開回路状態の時)でも、厳密には両側で濃度の異なる銅イオン(化学記号でCu2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、が素焼きの板の孔を通して僅かですが拡散によって移動します。」
と記載されています。この微量ながらに通過してきた銅イオンに亜鉛板中の亜鉛が反応して、亜鉛が亜鉛イオンになったと考えましたが合っていますか?

質問2) ダニエル電池に用いるセロハンのかわりに塩橋(KOH)を用いた場合
硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅水溶液を完全に分離し、塩橋(KOH)を用いて各水溶液をつないだ場合、セロハンを用いた場合と同様、亜鉛板中の亜鉛がイオンになるかと思いますが、この場合は亜鉛板中の亜鉛は何に反応して亜鉛イオンになっているのでしょうか?
上記の場合と同様、塩橋を用いた場合もセロハン同様、微量ながらに銅イオンが硫酸銅水溶液側から硫酸亜鉛水溶液側に移動してくるのが原因でしょうか?


質問1) の回答
結論から言うと違います。
亜鉛板は導線で銅板と接続されているため、そこを介して「亜鉛板」と「銅イオン(水溶液中にあるもの)」とで電子の授受が行われます。
金属の中にある電子は自由電子とよばれ、異なる金属間でもしっかりつながれていれば、自由に行き来ができます。
素焼き板を通って拡散する銅イオンが亜鉛板に到達するまでには相応の時間がかかります。
実験条件によって様々なので、具体的な時間は申し上げられないですが、実験装置を組んですぐに検証するといった時間スケール内では全くもって無視できると考えてよいと思います。

もし素焼き板をすり抜けて拡散した銅イオンと亜鉛板の間で直接電子の授受を行ってしまうと、導線に電子が通らない、つまり電池として働かなくなってしまいます。


質問2) の回答
イオン化傾向の高い亜鉛は、導線を介して連結された銅板に接している「銅イオン」に電子を受け渡します。
その結果、自身がイオンとなり、水溶液中に溶解します。

そのため、質問1)の回答と同じで、拡散した銅イオンは基本的には関与しません。


高2 (YK) 2024/09/05