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Q425★アルコールの臭素化の実験で、1-ブタノールを臭化ナトリウムと濃硫酸で臭素化しています。 反応終了後に、まずはブロモブタンを蒸留で分離しようとしたのですが、その時の蒸気の温度が80℃ほどとブロモブタンの沸点より20℃程低くなってしまいました。 原因を共沸と考えているのですが、ブロモブタンは共沸するのでしょうか。 また、他に原因は考えられますでしょうか。

 1-ブロモブタンと1-ブタノールが共沸することが実験的に報告されています [1]。
この文献によれば、ほぼ標準圧力下の実験(101.3 kPa)において、 1-ブロモブタン の沸点が101.6℃、1-ブタノール の沸点が117.7℃ですが、 1-ブロモブタン のモル分率が約80%の混合物においては沸点が共沸により99.5℃まで低下すると報告されています。また、40.0kPaでは71.0℃まで沸点が低下することも報告されています。
また、同文献によると、 1-ブロモブタンと2-ブタノール の場合、 1-ブロモブタン のモル分率が約60%の混合物において、標準圧力で沸点が93.1℃まで低下すると報告されています。

学術文献のアクセスは難しいかもしれませんが、 webからアクセスできるデータベースとして、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)によるNIST Chemistry WebBook [2]では、 1-ブロモブタンとブタノール のデータは確認できないものの、例えば1-ブロモブタンは1-ブタノールと比較的構造の近いエタノールと75℃で共沸するとされています。

今回の実験で見られた 1-ブロモブタンの沸点の低下が共沸によるものであるとの考察は正しいと考えれますが、その共沸温度は実験条件(圧力や薬品の純度など)によって大きく変わってくるため、明確には答えられません。

[1] Artigas, H., Cea, P., Domínguez, M., Royo, F. M. & Urieta, J. S. Isobaric vapour‐liquid equilibrium for the binary mixtures of 1‐bromobutane with isomeric butanols at 40.0 and 101.3 kPa. Can. J. Chem. Eng. 73, 862–867 (1995). Https://doi.org/10.1002/cjce.5450730610.
[2] https://www.homepages.ed.ac.uk/jwp/Chemeng/azeotrope/BB.html#brom


高1 (MS) 2025/2/18