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Q437★電解質水溶液に電気を流したらなぜ物質が分解されるのですか?

こんにちは。
電解液中の電気分解反応、面白い点に興味を持ちましたね。

電気分解反応は、電極と物質の間で電子の受け渡しを行うことで起こります。

電池と逆の反応で、電池の場合は反応を起こすことで電気エネルギーを取り出すのに対して、電気エネルギーを与えることで電極表面の酸化・還元を起こします。
この時、電解液の中ではイオン(+/-)が動いて電気の通り道を作ります。
動いたイオンが電極に到達して、電極表面で電子の受け渡しをし、反応が起こります。

水の電気分解の場合
水の電気分解では、水の酸性度によって、起こる反応が少し変わります。
・酸性の場合
 陰極(-)で起こること  2H3O+ + 2e- → H2 + 2H2O   水素の発生
 陽極(+)で起こること  2H2O → O2 + 4H+ + 4e-    酸素の発生
・中性〜塩基性の場合
 陰極(-)で起こること  2H2O + 2e- → H2 + 2OH-   水素の発生
 陽極(+)で起こること  4OH- → O2 + 2H2O + 4e-    酸素の発生

 いずれの場合も陰極と陽極でそれぞれ水素と酸素が発生します。量比は水素:酸素=2:1になります。
※食塩水のようにCl-がある場合は、陽極で塩素(Cl2)/次亜塩素酸(HOCl)系が主になり、O2とは限りません(安全のため換気・少量で)。


水以外の物質の電気分解の場合
水に溶かしている電解質や使用する電極の種類によって、起こる反応が違います。

硫酸銅(CuSO4)水溶液+不活性電極 の場合
 陰極(-)で起こること  Cu2+ + 2e- → Cu        銅の析出(銅メッキ)
 陽極(+)で起こること  4OH- → O2 + 2H2O + 4e-    酸素の発生

硫酸銅(CuSO4)水溶液+銅電極(活性電極) の場合
 陰極(-)で起こること  Cu2+ + 2e- → Cu     銅の析出(銅メッキ)
 陽極(+)で起こること  Cu → Cu2+ + 2e-    電極の溶解


電池は「化学→電気」、電気分解は「電気→化学」。
同じ水でも、条件しだいで相手(H3O+/H2O/OH-)と結果が変わるところが面白いですね。

中3(TA) 2025/10/22