Q61★10円玉のよごれはどんな液体で取れるのかを調べたところ、料理酒につけるととてもきれいになりました。料理酒のどのような成分が10円玉をきれいにしたのか教えてください。


 10円玉は造幣局(正確には独立行政法人造幣局)でつくられていますが,銅 950,亜鉛 40〜30,すず 10〜20の割合でできた青銅とよばれる合金です。その年につくられた10円玉はまだ汚れていないので,赤褐色にきらきら輝いています。これが何年もたつと輝きがなくなり,外観が赤黒くなってきます。この赤黒く表面を覆っているものを汚れとするならば,汚れの正体は金属のさびと手あか(有機物)が混じったものということができます。酢など酸性の溶液で汚れは落ちますが,これはさびがとけ表面からなくなったからと,考えることができます。さびは金属と空気中の酸素,あるいは,いおうとが結びついてできたもので,いずれも酸にはとけるからです。ご質問にある料理酒は日本酒の一種で,微生物のはたらきによってつくっています(発酵といいます)。したがって,料理酒の中には水,エタノール以外にさまざまな物質が微量ですが含まれています。その中に,乳酸,りんご酸,あるいはアミノ酸など,酸として働く物質があります。また,料理酒の封をあけて,長い時間おいておくと,エタノールが空気中の酸素のはたらきによって酢酸にかわっていきます。これらが10円玉の汚れを落とし,表面をきれいにした成分ということができます。
 なお,10円玉をはじめとする貨幣を傷つけたり,形を損なったりすることは法律で禁止されていますので,表面をきれいにする以上のことはしないように注意してください。


(RN) 2004/07/30