Q69★なぜ炭酸水にラムネを入れると、あふれ出してくるのですか?


  炭酸水は圧力をかけて,気体の二酸化炭素を水に溶かしたものです。二酸化炭素は圧力が高ければ高いほど,水に多く溶けます。炭酸水が入った瓶の栓を抜くと,急に泡がでてくるのは,栓を抜くことによって瓶の中の圧力が下がったため,溶けきれなくなった二酸化炭素が気体となって水から出ていこうとするからです。このとき溶けきれなくなった二酸化炭素は一度に気体となるのではなく,徐々に泡となって出ていきます。また,二酸化炭素は温度が低いほど水にとけやすい性質を持っています。たとえば0 ℃では,水1 cm3に1.7 cm3の二酸化炭素が溶けますが20 ℃では半分になってしまいます。この2点が重要です。
炭酸水をガラスコップの中へ注いだときに,いったいどのあたりから泡ができ,上まであがっていくかを観察してみて下さい。ほとんどの泡はコップの内側の表面でできていると思います。これには2つの理由があります。1つは,もし冷やした炭酸水を注いだのであれば,ガラスコップの方が温度が高く,炭酸水が炭酸水より温度が高いコップに触れる部分では,溶けきらない二酸化炭素がたくさんある状態になります。そのためにコップの内側(底も含めて)からあわが生じるのです。また,2つ目の理由は,先ほどにも書きましたように,炭酸水は圧力をかけて二酸化炭素を水に溶かしたものです。栓を抜き,瓶から出した炭酸水は,その圧力で溶けることができる以上の,二酸化炭素が水の中に存在していることになります。このような余分の二酸化炭素は,何かきっかけがあると,急いで泡となり空気中へ逃げていこうとしています。そのきっかけとなるものとして,コップ内側の表面にある,目に見えないような小さな傷や汚れなどが挙げられます。また,炭酸水をかき混ぜることもこのようなきっかけになります。
 炭酸水とラムネの温度が正確に同じでない場合には,急に温度が変わることになります。温度が低かった方から見ると急に温度が上がったことになり,泡が急激に発生し,コップからあふれるようになります。また,同じ温度であっても,炭酸水とラムネでは,水の中にとかしてある物質(砂糖など)の種類や量が違っています。このような二種類の,成分が異なった水はすぐには混じり合わずに,境目を生じ,この境目付近で水がはげしく動き,かき混ぜたようになります。このような水の動きも泡を生じるきっかけになりますので,泡が急激に発生することになります。

(RN) 2004/08/13