Q71★人間は重力にそってしか歩けないのですか?天井や壁は、何をやっても歩けないのでしょうか?


 映画やテレビに出てくるヒーローのように、天井や壁を歩くことができたら楽しいでしょうね。また大掛かりなマジックショーでは人が空中を歩いたり、浮かんだりするのを目にすることがありますね。
 科学的な話をすれば、光や電波、磁石の磁力線などはそれをさえぎって、その影響を受けないようすることができます。例えば窓のない部屋をしめきってしまえば、光は入ってきません。しかし、今のところ重力をさえぎるようなしかけはありません。地球の上にいる限り、我々は自分の重さだけの力(重力)で地球に引っぱられているのです。もし重力を見かけだけでもなくそうとすれば、重力と反対方向に何かの力で引っぱることが必要です。
 例えば、風船をからだにいっぱいつければ浮かぶことができるでしょう。また、下から空気を吹き付けてからだを浮かしたり、磁石の力で浮くなどの工夫が必要です。マジックでもピアノ線を使ってからだを上にひっぱたりするなど何かの仕掛けがあります。
 重力は重さのあるものどうしがひっぱりあう力です。その力の大きさは距離が離れると急速に小さくなる性質があります。ですから、地球上の重力のもとである地球から離れて、宇宙に行けば、たとえばスペースシャトルにのっている宇宙飛行士は無重力を楽しむことができます。もちろん宇宙船の中で天井や壁を歩くことができます。
 それでは地球の近くでは絶対にそんなことは無理でしょうか?一つ方法があります。
それは自由落下状態を作ることです。といってもやはり簡単にはできません。例えばジェット機で高いところへ飛び上がって(といっても無重力の世界まで行かなくてもOKです。)そこから地球に向かって落ちることで、しばらくの間、飛行機の中で無重力をつくることができます。また、地上からでも深い穴を掘って、その中に小さな小部屋をいれて、穴の中で落ちている間だけは小部屋の中が無重力です。これは遊園地にあるフリーフォールという絶叫マシンと同じ原理です。もっとも遊園地ではイスに縛りつけられていて動けませんが。
 将来は宇宙飛行士でなくても宇宙旅行ができる時代がくるでしょう。そのときまで、普通に人が天井や壁を歩くことはなかなかむずかしいことのようです。

(AY) 2004/08/18