Q94★チョコレートは本当に燃えるのでしょうか? それも自然発火という形で燃えるとすればどれくらいの温度なのでしょうか?


まずものが燃え始める時のことを考えてみます。ふつうなにかを燃やす時には,そのものに点火するために火の元(火花や電気のスパークの時もあります)が必要です。その時,ものによって瞬間的に燃え始める温度が異なります。この温度のことを引火点といいます。引火点が高いものほど燃えにくいと考えることが出来ます。例えばガソリンの引火点は-43℃以下ですが,灯油は50℃以上です。また天ぷらに使う油は160〜200℃くらいで引火します。天ぷらが原因で火災が起こることがありますが,この引火温度が関係しているのです。一方,ものの温度を上げていくと,ある温度で火の元がなくても燃え始めることがあります(自然発火)。これを発火といいますが,発火する温度もものによって異なります。例えば紙は290℃くらいで発火しますが,ふつうの油は400℃以上にならないと発火しません。
チョコレートのおもな原料はココアの実からとりだしたもので,それに砂糖やミルクなどを加えたものです。したがって,ほとんどが有機物ですので引火点以上の温度で火の元が近くにあれば燃えます。ちなみに原料の一つはココアバターとよばれる油脂で,他の油と同じように200℃くらいで引火すると思います。しかし,チョコレートではありませんがココアの粉の発火点は180℃くらいです。この理由はよくわかりませんが,かなり低い温度でも自然発火するおそれがあります。


(RN) 2004/10/18