Q202★塩と砂糖を使って野菜に同じ量だけかけた場合、砂糖の方が水がたくさんでるのはなぜですか。

  それはね…



 これからの説明で、塩の粒子、砂糖の粒子という言葉が出てきます。これは目に見える塩や砂糖の粒のことではありません。その粒をどんどん小さくして、もうこれ以上小さくできない粒ことで、これは原子・分子といって中学校で勉強します。
 まず塩で考えましょう。塩の濃い水溶液と薄い水溶液が水だけを通す膜の両側にあるとき、薄い方から濃い方へ水が移動します。野菜に塩をかけると水が出てくるのは、まさしくこの現象です。そして砂糖でも同じことが起こります。このとき、水が出てくる傾向は水溶液の濃度(濃さ)だけで決まり、何が溶けているかは無関係であることが分かっています。ただし、このときの濃度は重さではなく、そこに溶けている粒子(つぶ)の数です。塩の粒子一つの重さより、砂糖の粒子一つの重さが大きいことが分かっています。したがって、同じ重さの塩と砂糖では、塩の方が粒子が多くなります。すると、塩の方が濃度が大きくなり、そのため、塩の方が水を出す傾向が大きくなり、実験結果と逆になります。
 もう一度、実験で観察されたことを見なおしましょう。野菜の表面に固体の塩や砂糖があるだけでは、何もおこらないはずです。それでも、野菜の表面には水分が有り、野菜も呼吸しているので、中から水分が出てきます。この水分に塩や砂糖が溶け、野菜の外側の塩や砂糖の濃い液ができます。そうすると、前に書いたようにどんどん水が出る事になります。
 この事から、二つの可能性が考えられます。一つ目は、砂糖は全部溶けていて、塩は一部しか溶けていなかったという可能性です。同じ量の水に対して砂糖は塩よりずっと多く溶けます。さらに、溶ける速さも砂糖の方がずっと速いのです。もし、塩が全部溶けていなければ、砂糖水の方が塩水より濃かったため、砂糖の方が水がたくさん出たと考えられます。
 もう一つの可能性は、野菜から十分な量の水が出て、塩も砂糖も全て溶けてしまっている場合です。同じ重さの砂糖と塩を水に溶かすと、砂糖水の方が食塩水よりも体積が大きくなります。野菜にかけた塩の量や砂糖の量によっては(塩や砂糖がギリギリ溶けきるぐらいの量の水が出た場合)、見かけ上、砂糖をかけて出た水の方が多く見える事になる場合があります。
 実験結果の考え方は、答えが一つになるとは限りません。いろいろな条件によって変わってくる事もあるのです。そこが、実験の難しいところでもあり、面白い所でもあります。塩や砂糖が完全に溶けているかということも確認して、塩と砂糖を比較しましょう。同じ量の水に、同じ重さの塩と砂糖を溶かしてみて体積を比べてみるのも面白いかもしれません。もう少し頑張るのなら、その溶かした食塩水と砂糖水に野菜を漬けてみて、さらにどのくらい水が出るのかを比べると良いでしょう。(水の量を比べる時は、野菜を取り除いて、水の体積だけを量って下さいね。)

(YY) 2013/08/06