Q106★水の電気分解<水を電気分解すると水素と酸素に分かれる>という実験があります。それならば雷が雲から地表に落ちる時に空気中の水蒸気とかは分解されないのでしょうか? また窒素と水素に高圧電流を流すとアンモニアになると習いました。それならば窒素も水素もあるのでアンモニアの気体の割合がけっこうあってもおかしくないと思うのですがどうでしょうか?実際にこのようなことが空気中で起こっているのでしょうか?


雷で、水から水素や酸素ができたり、さらに、窒素と反応してアンモニアができるかという質問ですね。

可能性はあると思いますが、できる量が少ないのであまり影響がないものと思われます。雷はあまりにも派手な音と光が伴うために勘違いされがちですが、電気量的にはそうたくさん流れているものではありません。大体、数十キロアンペアが100マイクロ秒(0.0001秒)に流れているようですので、電気量としては数クーロンくらいの計算になります。1モルの水素(2g)を生成するのに必要な電気量が2ファラデー即ち2x96,500=193,000クーロンですから、一回の落雷の電気量がすべて水素の発生に使われたとしても〜0.00001gくらいとなります。

さらに専門的なことを言うと、水の電気分解のような酸化還元反応を電気を流して行うような場合には、反応は電極板の表面で起こります。つまり、落雷の場合は雷雲または地面ということになると思われますが、ここには既に電荷がたまっています(それを中和しようと雷が落ちるのでしたね)のでその中和に電気量が使われてしまえばほとんど酸化還元反応にまわす分はなくなります。こうした理由で落雷による電気分解で空気中の水蒸気から水素が大量に生成するということはありません。

そんなわけで、水素の量が微々たるものですから、アンモニアの生成もほとんど無視できるはずです。


(SY) 2005/03/07