Q250★「物質はマイナス278℃になると体積と質量がなくなって消えてしまう」と聞きましたが本当ですか? なぜそうなるのですか。嘘だったとして、この世で原子が消失するなんてことはかんがえられそうですか? ふつう温度は摂氏という単位で測りますが、物理や化学では、絶対温度という単位ではかった方が便利なことがあります。摂氏に273を足したものが絶対温度になります。たとえば、摂氏0度は、絶対温度では273度ということになります。 マイナス273℃は、絶対零度と呼ばれる温度で、これ以上は冷やせないという最低の温度になります。どのような話題から、質問のような話になったのかわかりませんが、気体の状態方程式というものを、高等学校で勉強すると思います。これは、PV = nRT という式で、気体の圧力(P)と体積(V)をかけたものが、絶対温度(T)に比例するという式です。この式で、Tを0度(摂氏ではマイナス273℃)にすると、PV = 0 ということになりますね。圧力と体積の積がゼロになることを意味しています。しかしながら、どのような物質も温度を下げていくと、気体から液体、液体から固体へと変化していくので、気体の状態方程式が温度が低くなると成り立たなくなると思われます。 したがって、気体の状態方程式を単純に低い温度に外挿していくと、確かに、マイナス273℃では、圧力と体積の積はゼロになりますが、実際の物質で体積がゼロになることは、上のような理由でありません。また、質量は温度を変えても変わらないので、こちらもゼロにはなりません。 原子が消失することがあるのかという質問ですが、こちらは、化学よりも物理の先生に聞いてもらった方がよい内容です。核分裂や核融合のような原子核そのものが変化するような場合には、質量の一部がエネルギーに変化するので、原子が消失するといってもよいのではないでしょうか。 (TM) 2006/09/19 |