Q252★卵を凍らせてみました。すると、卵は破裂せずにちゃんと凍りました。電子レンジで加熱した場合、卵は破裂しますが、どうして凍らせた場合はほぼ原型をとどめたまま凍るのでしょうか? また、タンパク質の性質のようなものに非常に興味をひかれたので教えてもらえますか?


電子レンジで加熱すると卵が破裂するのは、卵の卵白や卵黄などに含まれる水分が電子レンジで加熱されて水蒸気に変わり、体積が急激に増加するため、卵の殻に大きな圧力がかかるためです。
60gの鶏卵(Mサイズ相当)の約6割が水分だとすると36g、体積は約36 cm3ですが、これが全て水蒸気になると44800 cm3と1244倍の体積になろうとしますので、その圧力はすさまじいものになることがわかります。

温度を下げたときには逆に圧力が下がりますが、真空になるほど圧力が下がるわけではないので、卵の殻は持ちこたえるのでしょう。

タンパク質の性質に興味を持ったということですが、タンパク質は大変多くの種類があります。タンパク質は、20種類のアミノ酸が順番につながった高分子と呼ばれる分子です。タンパク質の1つの分子を拡大して見ると、実際の目では見えないくらい小さいので、あくまでも見えたとしたらということですが、長い糸が絡まり合ったような形になっています。タンパク質の種類によって、それぞれ一定の規則で絡まり合って、同じタンパク質は全部同じ形をしています。ポリエステルのような石油から作られる高分子も、糸が絡まったような形ですが、1個1個の分子の形はバラバラになっているのとは対照的です。
タンパク質が一定の形を持っているということがタンパク質の性質として大変大切なことですが、このためには、水、適当な量のイオン、適当な温度がうまくそろっていないといけません。たとえば、温度を上げすぎたり下げすぎたりすると、タンパク質の形が壊れてしまい変性してしまいます。卵を暖めると、白身や黄身の部分が固まるのは、この変性が起こるためです。このような性質を示すものは、タンパク質以外にはほとんどなく、これからもいろいろと調べていくとおもしろいことがわかってくると期待されています。


(TM) 2006/09/20 - 2020/01/24