Q256★お椀の中に温かいお味噌汁を入れ、蓋をして冷ましてから開けようとすると、なかなか開かないことがありますが、それはどうしてですか?


これは気体の性質で説明することができます。

お椀に何も入っていない状態で、フタをしたときには、フタの外から約1 kg重/cm2の力で、外の空気がフタを下に押しつけますが、中の空気が同じ力でフタを上に押し上げるので、結果としてフタは簡単に持ち上がることができます。

もしも、なかの空気がなかったとしたらどうなるでしょうか。仮に、お椀が直径10 cmとすると、約75 cm2の面積なので、外の空気が押し下げる力が約75 kg重/cm2になり、お椀を上に持ち上げるのにこれだけの力が必要となります。

温かいお味噌汁を入れてそれを冷やすことによって、お椀の中の気体(空気と水蒸気)は縮もうとします。気体の圧力は、体積が変わらないとすると絶対温度に比例するという法則があります。絶対温度というのは、摂氏で表した温度に約273(273.15)を足した温度です。そこで、たとえば、味噌汁の温度が80℃から30℃に温度が下がると、これは、絶対温度では、大体353度から303度になるので、圧力は、約303/353 = 約0.86倍になります。

お椀のフタを押し下げる力は、約75 kg重/cm2、フタを押し上げる力は、約75 kg重/cm2の約0.86倍の約65 kg重/cm2となるので、その差の約10 kg重/cm2だけ下に余分に力がかかってしまいます。
大変大きな力を入れないとフタが開かないということがわかると思います。



(TM) 2006/11/06 - 2020/01/24