Q279★なぜ梅干しから塩の結晶ができるのですか?


梅干し……暑い夏には欠かせない味覚ですが、ご存じの通り梅干しは塩辛いものです。この梅干しを作るには、一度熱湯やお酒(焼酎)などで十分に消毒殺菌をするのですが、その後で梅干に対して10%くらいの量の塩と少量のお酒で漬け込みます。つけ込んでいるうちに、梅の中にある水分が外に溶け出してくると同時に梅は柔らかくなってきます。このようにしてつけ込んでいるうちに、梅の実の中にも塩分が取り込まれ、梅干しの塩辛い味覚の元になります。この間だいたい10日くらいかかります。(余談ですが消毒をきちんとしておかないとカビが発生したり、腐ったりしてうまく作れません)
このようにして出来た梅干しの元は、天日干しにされ、梅干しとなります。このとき、梅にふくまれている水分が減少するため、塩分(食塩)の濃度は、どんどん濃くなっていき、最後には水分にとけきれない程の濃さになってきます。ところが、梅の内部は元々植物の実を形作っている細胞から出来ていますから、食塩が溶けきれなくなっても内部にはなかなか塩分がでてきませんが、表面に残っている食塩は簡単に結晶として表面に残ります。そのため、食塩が結晶となって出てくるように見えるのです。ですから、食塩は梅の実にもともとあったものではなく、梅干しを作るときに使った食塩が元になっています。

(MM & SI) 2007/08/20