Q285★いろんな物体がどれくらいの時間で凍るのか調べています。パソコンで調べていると、「必ず物体は凍る。その温度は-度」と書いてあったのですが、大事なその何度なのかを忘れてしまいました。物体が必ず凍る温度は一体何度でしょうか?


物質が「凍る」というのは、液体が固体になる現象で、化学や物理の世界では「凝固」といいます。反対に固体が液体になる現象は「融解」といい、これらが起こる温度をそれぞれ凝固点、融点といいます。
物質の凝固点は、圧力が一定であれば、物質の種類によって決まっており、普通は、融点と同じです。ご存知のように氷の融点(水の凝固点)は、通常の圧力(大気圧)の下では0℃です。
消毒用アルコールに主に含まれるエタノールという物質の融点は-115℃で、冷凍庫(-18℃)に入れても凍りません。一方、常温で固体である物質も加熱すれば融解して液体になります。アクセサリーに使われる貴金属、たとえば金の融点は約1000℃、つまり1000℃以上で加熱すれば溶けて液体になります。また、常温でガス(気体)である物質、たとえば、空気中の酸素や窒素もぐっと冷やせば(-220℃)固体になります(凝固します)。
このような、気体、液体、固体といった物質の状態は、物質(をつくっている原子あるいは分子)がどれだけ動きまわったりできるかで決まっています。気体は、原子や分子が活発に動いている状態、液体はゆっくり動いている状態、固体は原子や分子どうしがくっつき合ってほとんど身動きがとれなくなった状態といった具合です。物質によってこのような状態が変化する温度が違うのは、原子や分子どうしが「くっつきあう力」が物質によって違うためです。
分子や原子が動きまわるには熱エネルギーが必要ですが、温度をどんどん下げていくと、どんな物質でも動きまわることがむずかしい最低の熱エネルギーしかない温度に達します。このときの温度を「絶対零度(-273.15℃)」といいます。実は「温度」は、物質が動きまわることをもとにして規定されているので、あらゆる物質が動けなくなるこの温度が下限であり、それ以下の温度は存在しません。また、限りなくこの下限温度(絶対零度)に近づけることはできても、厳密に絶対零度にすることはできません。
では、絶対零度に近づければ、すべての物質が固体となるかというと、そうとも言えません。上に述べたように気体の物質が液体や固体になるには分子や原子どうしの「くっつきあう力」が必要です。このため、この力が非常に弱いヘリウムという物質は、少なくとも大気圧では絶対零度付近でも固体にすることができません。

(SI) 2007/08/28 - 2020/01/24