Q309★氷の溶け方の実験をしました。塩水、砂糖水、水道水、麦茶でどれが早く溶けるかの実験をした結果、1番 塩水、2番 砂糖水、3番 水道水、4番 麦茶の順でした。色々調べて凝固点降下についても知り、1番、2番は納得しました。水道水より麦茶が遅かった理由がわかりません。水と麦茶では3回行いましたが結果は同じで差は10分程度でした。他は1時間程度差がありました。小さなペットボトルを使い110ccで行いました。物によっては凝固点が上がるのでしょうか?麦茶を作るときに水を沸騰させているので変化したのでしょうか?麦自体に何か秘密があるのでしょうか? それともこれぐらいの差は差がないと考えるほうがいいのでしょうか?


ある液体(ここでは水)中に溶質(ここでは塩、砂糖、麦茶の化学成分)が溶けている場合、液体のみの凝固点と比べて、溶液の凝固点は低くなります。こうした性質は束一的性質と呼ばれ、溶質粒子の個性には関係せず、その数にのみに依存します。したがって、溶液濃度(正確には質量モル濃度)が高いほど、融ける温度が低くなる、つまり早く融け始めると考えられます。今回の実験で溶液濃度の設定をきちんと行なったのかどうかわかりませんが、以上のことを考慮すれば、塩水、砂糖水、麦茶(これらが水道水から作られたとすれば)は、少なくとも凝固点は水道水の場合より低くなり、早く融け始めると思われます。しかし、最終的に融けるのに要した時間は、水道水と麦茶については10分程度の差しかなかった。この結果を考える上で、もう一つ考慮しなければならないことは、実験に使用した氷の質についてです。氷の成長過程においては、凝固点以下の温度で過冷却状態という不安定状態を経て、多数の微小な結晶が作られ、それぞれが別々に成長し多結晶体(つまり氷)となります。この氷中のつなぎ目が少ないほど(つまり個々の結晶の大きい氷ほど)融けにくくなります。氷の結晶成長の仕方は、温度、時間、不純物(空気や溶質)などにより異なり、一般に家庭の冷凍庫などでは、気泡などを多く含んだ小さな結晶からなる融けやすい氷となります。ここで麦茶を作る際に煮沸したため麦茶中の溶存酸素などは減少している可能性があり、水道水の氷よりも融けにくい氷ができている可能性も考えられます。一度水道水も煮沸して、同じ条件で実験をされてはいかがでしょう? いずれにしましても、氷が融ける時間を比較する場合には、少なくとも凝固点降下と氷の質の双方を考慮に入れなければならず、難しい実験になるとは思います。

(AI) 2008/08/20 - 2020/01/24