Q341★100mlの水に5mlの重曹を溶かして、紙コップに入れて一晩置くと、中から水が漏れだしました。これは、重曹が紙コップの内側を溶かしたのですか? ちなみに、紙コップの内側の素材は、ポリエチレンラミネートです。


ポリエチレンラミネートを内側にコートした紙コップに重曹の水溶液を満たしたところ、水溶液が漏れてしまったとのことですが、ポリエチレンは化学的に非常に安定ですので、重曹水溶液で一晩のうちにポリエチレンフィルムが劣化するとは考えられません。従って、ポリエチレンのコーティングにはじめから欠陥があったか、紙コップの底面と側面との接着部分(または側面のつなぎ目部分)に欠陥があったと考えられます。
 ただ、もし同様の実験を水道水で行っても水漏れがおこらず、重曹水の場合には何度でも水漏れするということでしたら、以下のことが考えられます。
紙コップのつなぎ目には一般に接着剤が使われています。この接着剤にはいろいろな種類があり、どのような種類のものが使われているかはわかりませんが、もし酢酸ビニルという物質を原料にした接着剤(EVAと表記されます)が使われていると、接着剤が劣化した可能性が考えられます。この種の接着剤は酢酸ビニルとエチレンという分子がいくつもつながって大きな分子をつくり、それが接着材として作用するのですが、重層溶液のようなアルカリ性を示す溶液では、接着剤を構成する酢酸ビニルの部分がビニルアルコールへと分解される(アルカリ加水分解と呼びます)ことで接着剤が水にとけやすくなり、その部分にコップ内の重曹水がしみ出し、これが水漏れの原因となった可能性はあります。他に加水分解性の接着剤が使用されていれば同様のことが起こるかもしれません。

(TK) 2011/08/24