Q36★フェノ−ル類の呈色反応で、塩化鉄(V)を加えるとフェノ−ル、クレゾ−ルは青紫、サリチル酸、サリチル酸メチルは赤紫になります。同じファノ−ル類なのに、色のつき方が違うのはどうしてですか?


塩化鉄反応の呈色の詳しい仕組は実はまだわかっていません。
フェノール類がフェノキシドイオンとして三価の鉄イオンに配位して,錯イオンを形成しているのは間違いないのですが、この錯イオンの本当の姿(形)はわかっていません。一般に、このような錯イオンでは,電子は少しのエネルギーを吸収して励起状態になります。その時のエネルギーが光,可視光線である時,吸収した光の補色が人の目に見える色になります。これは錯イオンに限ったことでなく,世の中で見える色は自分で発光しているもの以外は皆同じです。この時,吸収されるエネルギーは化合物の結合の状態や周りの置換基の違い(分子構造)により異なってきます。エネルギーの違いは、光の波長の違い、すなわち色の違いですので、少しずつ吸収する色が違い,その補色も少しずつ違った色になります。フェノール、クレゾール、サリチル酸、サリチル酸メチルの分子構造の共通点と相違点を考えてみましょう。


(MA) 2004/01/07