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Q381★ファンデルワールス力は、分子内の電子の揺らぎによる瞬間的分極によって生じる分子間の力だと教科書には記載されています。イオン内でも電子は自由に運動しているのならば、イオン間でもファンデルワールス力が生じないとおかしいのではないのでしょうか?イオン間でファンデルワールス力が働かないのは、実際にはイオンは、結晶や水和として存在しているので、周囲の電荷の影響によって電子が完全に自由に動けないために分極が起きないからではないかと考えましたが、これは正しいでしょうか?


イオン間でもファンデルワールス力は働いています。

電荷を持たない中性分子、あるいは電荷をもつ化学種(イオン)の原子や分子構造の中でも電子は揺らいでおり、瞬間的な電荷の偏り(分極)を生じることから、すべての分子において「分散力」と呼ばれるファンデルワールス力の一種が働いています。

ただし、イオン間の主要な分子間力はイオン間相互作用です(静電相互作用、あるいはイオン結合とも呼ばれます)。

一般にイオン間相互作用と分散力の大きさの比率は、1000:1 程度であり、イオン間の分子間力全体を考えると、そのほとんどがイオン間相互作用であるといえます。

したがって、「正負のイオン間の分子間力は静電相互作用である」、または「正負のイオンはイオン結合で結合している」と説明されますが、上述のようにファンデルワールス力も(相対的には小さいですが)働いているのです。

分子間力には多くの種類がありますが、分散力の大きさを1として代表的な4種の分子間力の大きさを大雑把に比較すると
 分散力=1
 双極子相互作用=10
 水素結合=100
 イオン間相互作用=1000
となります。
いずれも静電相互作用(クーロン力とも呼ばれます)による引力であり、原因となる電荷の生じ方によって、その大きさも様々です。

高3 (TK) 2020/06/29