Q43★電気と化学はどれくらい密接な関係にあるのか教えて下さい。あと電気を勉強するのに、化学はどれくらい必要か教えて下さい。


電気の源は、電荷です。負(マイナス)の電荷を持つ電子が流れると電流になります。このマイナスの電荷を持つ電子は、あらゆる原子が持っています。原子は、正(プラス)の電荷を持つ原子核の回りを、原子の種類に応じて決まった数だけ電子が取り囲んでいます。あらゆる物質の化学的性質や化学的反応は、この原子を取り囲んでいるもっとも外側の電子が担っています。このように、化学も電気も電子が大きな役割を担っています。
 さて、学校で習う「化学」や「電気」という科目の間には、どういう関係があるのでしょうか。電気の配線工の仕事に就く人には、いわゆる「化学」の科目の知識はほとんど必要ありませんし、製薬会社に勤める人には、いわゆる「電気回路」の知識はほとんど必要ありません。また、「電気回路」のテストの点を取るのためには、「化学」の知識は全く必要ありませんし、その逆も然りです。ところで、「化学」や「電気」の科目を専門として学んだ人は、全員、配線工や製薬会社に勤めることになるのでしょうか?答えは「否(ノー)」です。人々の生活を豊かにするために使われる「化学」や「電気」の知識の範囲は、決して単純で、確定的なものではありません。確かに、人々が共通に持つ(専門家さえ持っている場合もある)「化学」や「電気」のイメージはありますが、実はそれぞれ「化学」、「電気」の学問分野とも、想像以上にその範囲は広範であり、境界はぼやけているのです。
 学問における全ての境界が同じであり、「化学」と「電気」の関係だけではありません。実は、そう言う境界領域に新しい発見があり、新しい学問があり、もっと言えば我々の未来があるのです。勉強していくうちに、そう言う境界領域にやがて出会う事が必ずあるはずです。その時、あなたが面白いと思ったら、固定の枠に捕われずに、突き進むことが大事です。特に、学生のうちには。


(TO) 2004/02/07