.

Q442★植物の繊維などについて興味があります。硬い繊維はリグニンというものからできていて維管束精植物には必ずリグニンが含まれているということはさんざん調べわかりました。では、繊維=維管束ということでよいのでしょうか。


【答え】
植物の「繊維」=「維管束」ではありません。

【解説】
植物学でいう「繊維細胞」とは,植物体を支える機械組織の一つである厚壁組織を構成する,両端がとがった細長い細胞です。
主に茎や葉,根などの維管束の中や周辺にあり,植物が自重を支えたり,風などの外力に耐えたりするための「硬さ」を与えています。
一方,維管束は,水や無機養分を運ぶ木部(道管や仮道管など)と,葉でつくられた糖などを運ぶ師部を中心にさまざまな細胞が集まった組織です。維管束の中や周辺に繊維細胞が含まれることはありますが,維管束全体が繊維細胞で構成されているわけではありません。

維管束植物では,特に木部の道管や仮道管などの細胞壁にリグニンが含まれています。ただし,植物のすべての細胞やすべての繊維にリグニンが含まれているわけではありません。繊維細胞の厚い細胞壁は,セルロース・ヘミセルロース・リグニンという3種類の生体高分子を主な成分としています。これらが階層的な三次元構造を織りなすことで,細胞壁に機械的な強さ=硬さや水に溶けない性質を与えています。
道管や仮道管も細長く,リグニンを含む厚い細胞壁を持っています。そのため,繊維細胞とよく似ていますが,別物です。

【より詳しく(化学的に)】
植物の細胞膜には,セルロース合成酵素というタンパク質があります。
この酵素は,グルコースを材料としてセルロース分子(高分子)をつくり,細胞膜の外側へ送り出します。
複数のセルロースが平行に並んで束になると,幅が数ナノメートルのセルロースミクロフィブリルができます。
現在の有力な構造モデルでは,樹木などの植物のセルロースミクロフィブリルは,18本のセルロース分子から構成されていると考えられています。
このミクロフィブリルの周囲に,キシロースやマンノース,ガラクトースなどの糖を含むヘミセルロースが集まり,さらに芳香族高分子であるリグニンが隙間を埋めます。こうして,強くて「硬い」細胞壁がつくられます。
セルロースを鉄筋の骨組み,ヘミセルロースやリグニンをその周囲を固めるセメントと考えると,鉄筋コンクリートに少し似ています。

【参考サイト】
・名古屋大学森林化学研究室「植物細胞壁の構造と機能」
https://forestchem.sakura.ne.jp/?p=720

・PDBj「今月の分子:セルロース合成酵素」
https://numon.pdbj.org/mom/254?l=ja


--
この回答は植物細胞壁の研究をされている方にご協力いただき作成しました。


中3 2026/08/06