Q46★ごはん、みそ汁、なっとう、卵焼きなど、日本人の朝食メニューを化学式で表すとどのようなものになるのでしょう。お教えください。


 化学式とは,純粋な物質を元素記号を用いて表したものであり、その物質が常に一定の成分で構成されていることを表しており、その実体を確実に伝えることができます。お尋ねの朝食メニューは、すべて混合物です。「純粋なご飯」は存在しません。ご飯は炊いたお米ですが、米は澱粉やたんぱく質や各種ミネラルなどたくさんの成分からできています。お米のたんぱく質も多くの種類が混ざって存在しています。みそ汁、なっとう、卵焼きも同じです。これらは全て一つの成分,または決まった量の限られた成分で構成されているものではありません。したがって、ご飯、みそ汁、納豆、卵焼きを化学式で表すことはできません。
 ただし、これら朝食を構成している食品の主成分(量的に多いもの)をあくまでおおまかにではありますが、化学式で表すことはできます。ご飯、みそ汁、納豆、卵焼きの主成分は澱粉と蛋白質です。澱粉は(C610O5)nと表すことはできます。nは50ぐらいから数万と非常に幅広く,実はこの式からでは澱粉かセルロースかグリコーゲンか識別することはできません。たんぱく質はNH2CHR1CONHCHR2CO……NHCHRnCOOHというように書くこともあります。このnも大変幅が広く、20種類以上のRがあります(Rが違う20種類以上のアミノ酸、一般式NH2CHRCOOH、から蛋白質は構成されています)。このように書くことによって,少なくとも澱粉やたんぱく質を構成している元素は分かります。化学式も使い方次第であり、食品を人に伝えるには言葉で表すほうが実体を良く伝えられそうですね。


(MA) 2004/03/10 - 2018/11/06