Q48★イオン化とは陽イオン化であれば電子が1つあるいは数個出て行った形をいって(+陽子の数が多い)、陰イオン化であれば電子が1つあるいは数個入ってきた事をいうそうですが(−電子の数が多い)、最外殻に1つ少ない・多いタイプの原子しかイオン化できないのでしょうか?イオン化できない原子があれば教えて下さい。あと多原子イオンの電子配列はどんな形になっているのでしょうか?

 まず原子の構造を考えてみましょう。原子は正の電荷を帯びている原子核とその回りを飛び回っている電子からできており、電子は負の電荷を帯びています。原子核の正電荷の大きさは、原子核の中にある正電荷をもつ陽子という粒子の数によって決まります。そして原子の状態では陽子の数と電子の数は同じで、全体として中性となります。陽子や電子の数は原子の種類によって決まっていて、この陽子の数は原子番号と同じです。
 原子核の回りを回っている電子は電子殻という電子の入れ物のようなところに入っていると考えることができ、入ることのできる数は内側から、2、8、8、--と決まっていて、決まった数以上になるとその外側の入れ物に順に入ることになっています。この入れ物がちょうどいっぱいの時、電子の出入りがなくて原子が安定しています.もし入れ物に電子が1つだけ入っている場合は、電子を一つ放り出せばひとつ内側の入れ物がいっぱい(あるいは空っぽ)になり安定ですので、電子一つを放り出して陽イオン(1価)になりやすいのです。逆に入れ物にひとつ足りない状態にある原子では、電子を外からひとつもらえば安定な状態になるので陰イオン(やはり1価)になります。2つ多い時や2つ少ない時も、それぞれ2つずつ出し入れすれば、2価のイオンになります。しかし電子を出すにはそれぞれエネルギーを必要とし、一つよりも2つの方がエネルギーを余分に必要としますので、普通2つか3つまでです。
 それから前にも書いてあるように最初から電子が入れ物いっぱいになっている状態の原子であるヘリウム、ネオン、アルゴンなどの18属元素の原子はイオンになるには大きなエネルギーを必要とするので普通イオンにはなりません、そのため不活性元素といわれます。
 多原子イオンの電子配列はどうかとのお尋ねですが、多くの原子が集まって集団をつくっている場合、本当に電荷のある原子はわかりませんが、便宜上、電荷を特定の原子の上に書きます。これは先に述べた考え方と同じですが、原子集団の場合、中学校では少し難しいでしょう。原子同士が集まる時に必要な結合についてもう少し勉強してから考えたほうがよいでしょう。 

(MA) 2004/04/10