Q66★いろいろな飲み物(炭酸水や水、ジュース)の中に氷を入れると溶ける速さがちがうのはなぜですか?水、炭酸水、麦茶、グレープジュース(100%果汁)、炭酸飲料では、炭酸水、水、 麦茶、 炭酸飲料、 グレープジュースの順に早く溶けました。


 氷が溶ける速さは氷の作り方によっても違ってきます。しかし同じ氷を使ったとしたら,その溶け方は氷のまわりから,熱が伝わってくる様子で違います。もう少し簡単に言うと,氷をとりかこむまわりの水の温度で変わるということです。たとえば氷をお湯の中に入れたときと,水の中に入れたときとを比べてみてください。お湯の中に入れた方が速くとけますね。
 飲み物(水溶液)の種類によって解ける速さがちがう理由は3つ考えられます。一つは飲み物によって熱の伝わり方が違うということです。水は熱を伝えますが,そこに何か混ざると熱の伝えやすさがかわることが考えられます。
 もう一つは氷が溶けたときに氷は熱を吸収して,まわりを冷やします。そして次に溶けた水がまわりの溶液と混じってやはり熱を出したり,吸収したりします。それは溶液の種類によって違います。
 それからもう一つ,コップの中で実験するときには,熱の伝わり方の一つである対流が重要です。空気の中では気体の温度によってその密度がかわり,それによって重い冷たい空気が下へ,軽い暖かい空気が上に動くことで,熱が伝わります。一方,水の中では,密度は温度によって気体ほど変わりませんが,氷から溶けた水とまわりの液体の密度の差によって,もし水の方が重ければ対流が起きます。しかしジュースなどは水より重いために,溶けた冷たい水は上にたまって下にいきにくく,熱がつたわりにくいので氷が溶けにくいことが考えられます。
 炭酸水が速かったのは,炭酸ガスの泡がコップ中の溶液の中で動くことで,水をかき混ぜ,熱を伝えやすくしていることが考えられます。
 このように熱はいろいろなところで,またいろいろな方法で出たり入ったりしていますので,実験の条件をかえると結果が変わってしまいます。たとえば,コップをプラスチックの保温容器に入れてみたらどうなるでしょう?またゆっくりとかき混ぜながら実験したらどうなるでしょうか?また氷をコップの下の方にはしで押しつけながら実験したらどうなるでしょうか?いろいろ条件を変えて実験することで,熱の伝わり方がはっきりとわかってくると思います。

(AY) 2004/08/05