Q85★カビは人類にどのように役立っているか教えて下さい。


カビが役立っている例としてもっとも身近なものは,食品の製造に用いられているものでしょう。日本では日常的に使われている味噌,醤油,納豆はすべて,こうじカビとよばれているカビの力でつくっています。こうじは穀物や大豆が含んでいるデンプンやタンパク質を分解して,いいかえると食料にして生きています。そのときにデンプンを糖にかえたり,タンパク質をアミノ酸にかえたりしています。お酒を造るのにもこうじは必要不可欠です。こうじをつかって米のデンプンをブドウ糖にかえ,酵母という微生物でブドウ糖をアルコ―ルにかえているのです。なお,甘酒というものがありますが,これはふつうのお酒とはちがって,こうじかびだけでつくったお酒のことです。これらはすべて発酵とよばれています。あるいは,鰹節をつくるときにもカビが利用されています。また,アオカビの一種はチーズの熟成にも用いられています。ブルーチーズとよばれるチーズの青い部分はカビの色です。
最近ではバイオ技術が進んできて,カビを直接つかうのではなく,カビが作る酵素をつかってさまざまな製品が作られるようになってきています。カビをタンクの中で大量に培養し,その中から必要な酵素だけをとりだしてつかっています。代表的なものはデンプンから水飴(すなわちブドウ糖です)をつくる工程,あるいはさまざまな甘味料(異性化糖とよばれています)もカビを利用することで安くつくることができます。
酵素の話しが出てきましたが,酵素にはさまざまなしゅるいがあり,ここでは紹介しきれないほど多くの利用のしかたがあります。それは衣食住すべてにわたっていると考えて下さい。最後に,医薬品においてもカビが役に立っていることを紹介します。ペニシリンという抗生物質を知っているでしょうか。これはカビ自身が細菌などから身を守るためにつくっている物質ですが,それをはじめて薬として利用したのがペニシリンです。ペニシリン自体はアオカビの一種から見つけ出されたものですが,はじめは,酵素と同じようにそのカビを培養してつくっていました。


(RN) 2004/08/30