Q99★石鹸を作る方法(反応名)、多量の飽和食塩水の中に物質を入れて沈殿させる方法の名前、合成洗剤は油と混ざるときうにどのような性質を示すか、洗濯するときに汚れが落ちる仕組み(洗浄作用)、廃油から作る石油について教えてください。

一般的な話しとして回答します。
セッケンの原料およびセッケンの構造のことはご存じでしょうか。原料となるのは油脂,すなわちグリセリンと脂肪酸(カルボン酸)からできているエステルです。これをアルカリで煮沸するとセッケン(脂肪酸のナトリウム塩)になります。この反応はエステルの加水分解ということができます。とくにセッケンをつくるときには,ケン化と表現することが多いようです。
また,有機化合物の水溶液の中に大量に食塩を加えて,有機化合物の沈殿を得る方法は,塩析とよばれる方法で,セッケンをつくるときにはよく使います。
セッケンや合成洗剤の分子には水になじみやすい部分と油になじみやすい部分とが含まれています。したがって,水の中では水になじみやすい部分を外側にして集まりやすくなります。逆に,油の中では油になじみやすい部分を外側にして集まろうとします。洗濯にはふつう水を使います。一方,よごれは油の一種です。したがって,洗濯で汚れが落ちるのはセッケンや合成洗剤の分子の中で油になじみやすい部分を油の方へのばし,その外側を囲んでいる水の中に水になじみやすい部分がのびているからです。このようにして,セッケンや合成洗剤は油の固まりを目に見えないくらいの小さな粒に砕き,水の中へ分散することができます。
最後のご質問ですが,天ぷら油などの廃油からディーゼルエンジン用の燃料をつくるという意味でしょうか。ここでいう燃料は脂肪酸のメチルエステルを指すのではないかと思います。したがって,石油をつくっているわけではありません。石油とは主として脂肪族の炭化水素が成分です。


(RN) 2005/01/11 - 2019/11/15