Q181★醤油の泡を味噌で消すという実験をします。醤油の泡が消えるのは発酵や微生物が関係しているという事を読みましたがよく分かりません。そのしくみを教えて下さい。また,オレンジジュースのあわをオレンジで消したり,牛乳の泡をチーズで消す実験,ビールの泡を麦ご飯で,石けんの泡をバターできえるかなど挑戦してみたいと思っています。それぞれ理由が違うのでしょうか?

  
それはね…

 醤油の泡に関する質問ですが,回答の前に「泡とはどのようなものか」ということと,「泡はどのようにできているのか」について説明します。説明は長くなりますが,がんばって読んでください。
 まず,「泡とはどのようなものか」ということですが,泡とは液体の中に空気などの気体を含んで丸くなったものであり,丸い部分はうすい膜からできています。この膜も液体からできているため,時間がたつとこの液体が下に流れてくるので膜はもっとうすくなり,やがては膜がこわれて泡は消えます。
 次に,「泡はどのようにできているのか」について説明します。液体を泡だて器などでかき混ぜると,空気を取り込みやすくなり泡ができますが,水よりも石けん水の方が泡ができやすいので,醤油からは離れてしまいますが石けんを例に泡はどのようにできているのかを考えてみましょう。石けんの泡の前に石けんそのものについてですが,石けんを細かくしていくと,これ以上細かくできないものになりますが,これを石けん分子といいます。石けん分子は水に混じりやすい部分と,水に混じりにくい部分からできています。泡ができているときは,泡をつくっている液体の膜の内側にも外側にも空気があります。では液体(水)の膜の中はどうなっているのでしょうか。
水には石けん分子がとけていますが,この石けん分子の水に混じりやすい部分は水側に,水と混じりにくい部分は空気側にくるようにきれいに並んでいます。つまり,お互いに反対方向に並んだ石けん分子が水をはさんで向かい合っています。
 このような状態で石けん分子が並んでいる状態で泡ができていますが,これに違う分子が入ると石けん分子がきれいに並ぶことができなくなるため,泡ができなかったり,できてもすぐに壊れてしまいます。ここで,醤油のなかにはタンパク質が含まれていますが,タンパク質は石けん分子と同じような働きをします。
 それでは質問に戻りましょう。醤油の泡を味噌で消すという実験ですが,味噌の成分には発酵によってできたアルコールが含まれており,これが醤油の泡に入っていくときれいに並んでいたタンパク質の並びが乱れるのではないかと考えられます。
 また,醤油と味噌以外の組み合わせについてですが,醤油と味噌のようにいかないものもあります。例えばオレンジジュースのあわをオレンジで消そうとしても,オレンジそのものからアルコールのような分子は簡単には出ていかないので,オレンジがない場合と変わらないでしょう。泡が速く消える場合の理由は、違う分子が入ることによると考えられますが、邪魔をする分子はアルコール以外にもあると思います。
 なお,同じような質問が中学生の質問コーナーQ335にあります。そこにはもっと詳しい説明と石けんの泡の図もありますので,こちらも参考にしてください。

(KK) 2010/08/24, (WG) 2017/07/10