Q182★炭酸水にブドウを入れるとはじめ沈み、すぐ浮かび、時間をかけて沈み、すぐ浮き、40分後から沈むほうが早くだんだん浮かなくなり、一時間後不定期に浮沈を早く繰り返しました。毎日データーを取ってますが、きれいなグラフにはなりそうになりません。温度が関係するかも?と思い比較実験もしましたが、浮き沈みは不定期です。
そもそも水にいれると沈みますが、浮くのは二酸化炭素が水から脱出しようとする力でしょうか?時間が経つと沈んだままの時間が長くなるのは、二酸化炭素が空気中ににげて、少なくなったからですか?しかし、二酸化炭素がたくさんあるキャップをあけた直後の冷えた炭酸水に入れてせんを閉めると沈んだまま浮きません。二酸化炭素がたくさんあっても、逃げれないと浮かないのなら、浮く仕組みは、水面近くの泡に秘密があるのでしょうか?
より早く浮き沈みさせるには、どうすればよいか教えてください。
それはね…
炭酸水にブドウを入れると、まずはそれ自身の重さで沈みます。しかし、すぐに炭酸水中の二酸化炭素の泡がブドウのまわりにたくさん着くので、すぐに浮かび上がります。(二酸化炭素の泡が浮き袋の役割をはたします。)
ところが、ブドウが水面まで来ると、泡として着いてた二酸化炭素は空気中に放出され、 ブドウはまたもとの状態に戻りますので、沈みます。
この繰り返しによって、ブドウの浮き沈みが観察されたのです。
時間がたつと、炭酸水中の二酸化炭素の量も少なくなりますので、ブドウのまわりにはすぐにたくさんの泡が着かなくなります。したがって、浮きにくくなります。
浮き沈みが不定期になるのは、炭酸水中の二酸化炭素量の変化に加え、ブドウの表面の変化もあるかもしれません。ブドウのまわりにたくさん泡が着くためには、ブドウの表面が”疎水性”という水を嫌う(水をはじく)性質になっている必要があります。
”疎水性” が強いかどうかは、ブドウの表面にある化学物質や、ミクロサイズの形状にも大きく関係しています。長く炭酸水につけておくことによって、この性質が変わってきたのかもしれませんね。また、ブドウの不規則な向きや動きも、つねに一定量の泡を付着させておくにはじゃまになるでしょう。
(小学生の質問コーナーのQ34, Q172にもこれに関連した質問がありますのでまた見てみてください。)
さて、その二酸化炭素の泡ですが、キャップを閉めると出なくなります。
これが、ブドウが浮かなくなった理由です。
炭酸水は圧力をかけて,二酸化炭素をたくさん水にとかしたものです。
かける圧力が高ければ高いほど二酸化炭素はたくさん溶けます。
容器のキャップを空けると、今までかかっていた圧力が一気に減ります。そのために、水の中に溶けきれなくなった二酸化炭素ガスが大気中に泡として逃げるのです。
しかし、再びキャップを閉めると出てきた二酸化炭素で容器の中が満たされ、また高い圧力がかかるようになります。そのため、再び二酸化炭素はよく溶けるようになり、泡として出てこなくなるのです。
沈むときの速さは、ブドウ自身の重さにより下へ引っ張られる力(重力による力)と、 ブドウが受ける浮力(上に浮こうとする力)との差によって決まります。
したがって、重さが重く体積が小さなものほど(密度が高い物体ほど)、沈む速さは速くなるでしょう。
(小学生の質問コーナーのQ172も見て下さい。)
浮く速度を速くするには、ブドウにたくさんの二酸化炭素の泡を付けて浮力を大きくしてあげる必要があります。
そのために、表面が疎水性でぼこぼこしたものがいいでしょう。もっともあまりぼこぼこしていると、水の抵抗を受けやすくなりますので、加減がむずかしいです。
(水の抵抗に関しては、沈むときも同様です。)
このように、ブドウの浮き沈みにはいろいろな要因が関わっています。
ブドウを使って安定したデータをとるのは難しいでしょうが、ここに書いたことを参考にして、いろいろなことを試してみて下さいね。
(AI) 210/08/26
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