Q187★洗濯のりと飽和ホウ砂水でスライムを作りました。スライムの冷たさがとても気持ちがいいです。 スライムはなぜ冷たいのでしょう。


  それはね…

じめじめしたじめじめした梅雨の時期には特にひんやりして気持ちがよいでしょうね。
とてもおもしろいことに気がついた良い質問ですね。

スライムが冷蔵庫で冷やした訳でもないのに作ったあと冷たいのは、気化熱(きかねつ 注1)溶解熱(ようかいねつ 注2)のためと考えられます。

さて、次に、あなたがひんやりとしたと感じたということを考えるのに、”熱”とはなんでしょう?
ということを考えることが、とても大事なことです。

1)あたたかいものとつめたいものをふれさせたとき、時間をかけるとやがてこれらふたつのものは、おなじ温度になります。これは、熱が必ず温度が高いものから低いものへうつる性質があるからです(注3)。温度が低いものに熱がうつるとあたたまります。反対に温度が高いものは熱がうばわれたのでつめたくなっていきます。これがくりかえされるうちにふたつのものの温度が同じになります(注4)。この状態では、熱は一方からもう一方へうつることができません。なぜならさっき説明したように、熱は必ず温度が高いものから低いものへうつる性質があるからです。温度の差がないところでは、熱の移動がおこらないわけです。

2)さて、あなたがひんやりと感じたというのはどのようなことが起こっていたのでしょうか。1)を参考に考えると、あなた(体温がスライムの(最初の)温度よりも高いですね)からスライムへ”熱”がうつったわけです。反対にあなたはスライムに”熱”をあげたわけです。このとき、あなたはひんやりしていると感じたわけです。

3)さて、いまあなたが10円玉をてのひらにのせたとします。のせたあとすぐは、つめたく感じますね。ところがすぐに10円玉はあたたまって、あなたはひんやり感じなくなってしまいます。でもスライムの場合はかなり長い時間たってもひんやりかんじますね。なぜでしょう。

4)いろいろなものは、それがどんなものからできているかであたたまりやすさが違います。たとえば、さきの例でいえば、おもに銅という金属からできている10円玉はあたたまりやすくて、スライム(あなたは、洗濯のりと飽和ホウ砂水からつくりましたね)はあたたまりにくいわけです。これは少し難しい言葉でいうと熱容量(ねつようりょう)の大きさが違うためです。熱容量というのは、もののあたたまりやすさの単位です。熱容量は、そのものの温度を1℃変化させるのに必要な熱の量のことです。つまり熱容量が大きいものはたくさん熱をあげたりうとったりないと温度が変化しません。反対に熱容量がちいさいものはすこしの熱をあげたりとったりするだけで温度が変化します。

5)スライムは、この熱容量が大きなものなのです。スライムは熱容量が大きいのであたたまりにくく、“冷たい!”が持続するのです。そのためにあなたが熱をスライムにあげてもなかなかスライムの温度が変化しないのです。でもたとえば2時間から3時間ぐらいスライムをのせたままにするとスライムはあたたまってしまうのでひんやり感じなくなると思います。でもずっとスライムを手に乗せているので実験は大変ですね(笑)

(注1)たとえば注射をするときにアルコールで注射する場所をふくとひんやりしますね。これは気化熱のためです。
(注2)ものが水などに溶けたり混じり合ったりするときに発生したり吸収したりする熱のことです。熱が発生するか、
吸収するかは、ものの組み合わせによってかわります。興味があったら調べてみてください。
(注3)この性質を理解するためには「エントロピー」という言葉を理解しなくてはなりません。この言葉は大学で習います。
(注4)これを難しい言葉で「”平衡(へいこう)”状態に達した」といいます。この言葉は高校で習います。


(TS) 2011/06/20