Q195★麦茶をペットボトルに入れて凍らせて、溶けると濁ってくるのはなぜですか? 味は一緒なのですが見た目が悪くなるのはなぜか教えてください。


  それはね…

お茶(紅茶を含む)を冷やした時に白濁する現象は、「クリームダウン」とか「ミルクダウン」と呼ばれます。お茶に含まれている“タンニン”と“カフェイン”が結びついた結合物が、冷やされて析出するために起こります。白濁の程度は、含まれている“タンニン”や“カフェイン”の量、使う水の硬度、冷やし方によって変わります。

ところが、“葉”から作られていない麦茶に含まれている成分は、“葉”から作られているお茶に含まれている成分とはずいぶん違います。麦茶は、大麦を焙煎して作られています。大麦には、“タンニン”や“カフェイン” が含まれていません。よって、“タンニン”と“カフェイン”が結びついた結合物は、麦茶の白濁の原因ではありません。

麦茶は、でんぷん質・タンパク質といった栄養分を豊富に含んでいます。これらの成分は、水に溶けにくいので、冷めると析出して白濁の原因となります。麦茶を「煮出し」して作ると、これらの成分がより多く溶けだすので、より白濁します。よって、麦茶をペットボトルに入れて凍らせた時に、水に溶けにくい成分が析出し、麦茶が溶ける時に透明な麦茶と一緒に出てきて麦茶が濁ったのでしょう。

(今回は違いますが、でんぷん質・タンパク質といった栄養分を豊富に含んでいるので、2~3日間すると、菌が繁殖して白濁=カビができるのも、麦茶の特徴です。)

麦茶は焙煎した大麦の“おこげ”を水に抽出したもの。あの麦茶の独特の味や香りは、“おこげ”の抽出成分で決まります。麦茶の抽出の仕方によって、抽出成分は大きく変ります。おいしい麦茶を作るには、コーヒーのように蒸らして短時間で抽出するといいそうです。『味は一緒なんですが見た目が悪くなるのはなぜか』ということなので、今回は、麦茶の味を決めていた成分が、析出(白濁)しなかった、あるいは、味に違いが出るほど析出(白濁)しなかったのでしょう。“おいしいおこげ”だけを抽出した麦茶をペットボトルで凍らせた後、白濁や味や香りがどのように変わるのか、ぜひ、試してみて下さい。

(TM) 2011/09/20