Q226★銀アクセサリーの黒ずみを取る自由研究をしました。
プラスチックの器にアルミホイルをしいて、黒ずんだ銀のアクセサリーを並べて、重曹をまぶして、熱湯をかけて、5分置いて、水で3回すすぎました。
8コのうち6コがきれいになりました。始めたくさん泡が出て、減っていきました。この泡は何ですか? 【質問1

5分待つ間に、液の色は黄土色になり、だんだん濃くなって、それから少し薄くなった感じがしました。
この黄土色は、銀の黒ずみかなと思いました。

アクセサリーを取り出したあとの液は、温泉で温泉卵を作った時の匂いがしました。
ネットで温泉の匂いを調べると、硫化水素の匂いと分かりました。有毒と書いてありました。実験でかいだ液の匂いは、硫化水素であっていますか?【質問2】

どうして、実験では液の色はだんだん濃くなって、それから少し薄くなったのでしょうか?【質問3】

黄土色の液を捨ててアルミホイルを取り出すと、新しいアルミホイルと少し色が違うような気がしましたが、シワがあるのと無いのとで比べるので、はっきりとは分かりませんでした。
そこで、乾いたティッシュで拭いてみたら、茶色い色がティッシュにつきました。
重曹と熱湯を混ぜたものを作ってティッシュにつけて、新しいアルミホイルを拭いても、ティッシュに色は付きませんでした。
実験のアルミホイルに着いていた茶色い色は、銀の黒ずみかなと思いました。

ネットで調べると、アクセサリーの銀の黒ずみは、銀の原子に、皮膚や髪の毛の硫黄の原子がついて硫化銀になって、表面が黒くなると分かりました。
また温泉で銀のアクセサリーが黒くなることもあり、その時は温泉の硫化水素の硫黄が、銀の表面にくっついて硫化銀になるからと言うのも分かりました。
汚れや塩化というもので黒ずんでいるときは、この実験ではきれいにならないことも分かりました。

実験で銀がきれいになったのは、硫黄が取れたからという理由で合っていますか?【質問4】

この実験では銀がきれいになったあと、硫黄の原子はどこにありますか?【質問5】
液の中に溶けたり、硫化水素になって空気中に飛んで行ったり、アルミホイルにくっついた、という事で合っていますか?【質問6】



ご質問ありがとうございます。
【質問1】 始めたくさん泡が出て、減っていきました。この泡は何ですか?
アルミホイルはアルミニウム(Al)という原子でできています。また,重曹は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)という化合物の別名です。この二つが水(H2O)の中で接触すると,水酸化アルミニウム(Al(OH)3)と水酸化ナトリウム(NaOH)と二酸化炭素(CO2)と水素(H2)に変化します。これを化学反応式という表記の仕方で表すと,以下のように表します。
 Al + NaHCO3 + 3H2O → Al(OH)3 + NaOH + CO2 + H2
今回の実験で発生した泡は,この化学反応で発生した水素だと思います。また,二酸化炭素は少し水に溶けますが,溶けきれない部分は泡としても出てくると思われます。

【質問2】実験でかいだ液の匂いは、硫化水素であっていますか?
はい,合っていると思います。私たちの体は,化学的にはアミノ酸という物質から構成されています。特に皮膚や髪の毛にはシステインというアミノ酸が多く使われています。このシステインには硫黄原子が含まれています。ネットで調べた通りで,銀のアクセサリーが黒ずむ原因の一つが,この硫黄原子によって発生する硫化銀(Ag2S)です。一つ前の質問で説明した泡には水素が含まれます。この水素と硫化銀が化学反応を引き起こすと,銀(Ag)と硫化水素(H2S)に変化します。化学反応式で表記すると以下の通りです。
 Ag2S + H2 → 2Ag + H2S
温泉の匂いがしたとのことですので,硫化水素で間違いないでしょう。硫化水素は有毒でかなり危険なガスですので,換気しながら実験するようにしてくださいね。

【質問3】どうして、実験では液の色はだんだん濃くなって、それから少し薄くなったのでしょうか?
次のような反応が起きたからと考えられます。
銀アクセサリーの表面についていた硫化銀が,泡が弾ける力ではがれ落ちて水の中に漂ってだんだんと濃くなっていきます。また,泡は水素なので,ひとつ前の質問で説明した化学反応によって硫化銀は硫化水素に変化します。硫化水素は気体なので空気中に飛んでいき,硫化銀が少なくなっていくので少しずつ色が薄くなっていったのでしょう。

【質問4】実験で銀がきれいになったのは、硫黄が取れたからで合ってますか?
【質問5】この実験で銀がきれいになったあと、硫黄の原子は、どこにありますか?
【質問6】液の中に溶けたり、硫化水素になって空気中に飛んで行ったり、アルミホイルにくっついた、と言う事で合っていますか?

これまでの回答で分かったことをまとめてみましょう。
(1)アルミニウムと重曹と水との化学反応で,水素が発生する。
(2)水素が銀アクセサリーの表面にくっついていた,硫化銀をはがして銀と硫化水素に変化させる。
このことから,銀アクセサリーがきれいになったのは硫化銀が取れたから,銀がきれいになった後の硫黄の原子は,温泉のような匂いがしたという事実からもわかるように硫化水素として空気中に飛んでいった,と考えられます。また,アルミホイルを拭いたあとの茶色い色は,硫化銀がはがれ落ちて水素と反応しなかったものが溜まっていたと思われます。
また同時に、硫化銀(Ag2S)からアルミニウム(Al)に硫黄(S)が移動して、銀(Ag)に戻る、という反応も起こっています。
少し難しいですが、これは銀よりアルミニウムの方がイオンになり易い性質を持っているためで、イオン化傾向と呼ばれます。
通常、固体の硫化銀とアルミニウムを混ぜるだけでは反応は起こりませんが、ここに重曹水(食塩水などでもよいです)があると、両者の間に電気がながれるのを助けてくれるため、反応がおこります。
硫黄が移動した直後は硫化アルミニウム(Al2S3)ができますが、これは水があるとすぐに分解して、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)と硫化水素(H2S)になります。なので結果としては同じことになります。

(参考にした資料)
 そざいの魅力ラボ
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/molp/article/detail_20210810/index.htm
 善ちゃんのサイエンスショー
https://www.science-show.net/post/silverkirei


小3 (SH &KH) 2024/09/20